【社長コラム】言語化されないものは、承継されない
2026.07.21
【社長コラム】言語化されないものは、承継されない
株式会社 船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング
代表取締役社長 村田 泰子
優れた会社ほど、その強さの理由が社長ご自身にも言葉になっていないものです。「うちはなぜか離職が少ない」「あの営業はなぜか数字を作る」。
この"なぜか"こそ最も価値ある資産であり、同時に、最も承継されにくい資産です。
言葉にされないものは、人が辞めれば失われ、途切れてしまいます。
いま世界では、あちこちで「言語化」をめぐる実験が進んでいるようです。
アメリカでは学歴や職歴ではなく、仕事に必要な能力そのもので選ぶ「スキルベース採用」が潮流といわれています。
しかしながら、求人票の「大卒以上」などの学歴を消すだけでなく、面接で見る項目を「この仕事で成果を出す人の行動」に定義し直し、全員を同じ基準で採点するところまでやった企業は、ハーバード大の調査によればごく一部。
その一部の企業では、こうして採った人が、学歴で選んだ人より3割以上長く会社に残る結果となったそうです。
成果の決め手は、能力の言語化でした。
例えば、「経理経験3年以上」ではなく、「予算と実績の差異を分析し、次の一手を提案できる」。
曖昧な形容詞を、面接や仕事ぶりで確認できる具体的な行動に置き換えていく。
そんなの急に思い浮かばない、という声もあることでしょう。
意外にも、手がかりは社内にあります。
いま、特に活躍している社員たち。
彼らの仕事ぶりを一つずつ言葉にしていくと、「自社にとってのいい人」の正体が見えてくる。
多くの企業が、このプロセスから自社の採用基準を見つけています。
言葉にできた瞬間、求人票が、面接の問いが、評価と育成の基準までが変わっていきます。
紹介手数料も採用広告費も、上がり続けています。
お金だけで採ろうとする戦い方は、年々割に合わなくなっている。
さらに各社は、スカウトに各種SNS、自社採用サイト、カジュアル面談など、求職者との接点を競って増やしています。
ただ、どの面で語るにせよ、元手になるのは一つ——「自社にとってのいい人とは誰か」。言い換えれば、「どのような価値観を持ち、どんな仕事ができる人か」です。
かつて採用は、いい人を「探す」仕事でした。これからは、それを「言葉にできる」会社が、増えた面のすべてで強くなります。
最後に少し宣伝ですが、採用費をなるべく「人のスキルアップへの投資」に回していただきたいという思いを込めて、6月より「採用-engine」をリリースしております。よろしければぜひご覧ください。
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