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【役員コラム】経営者が知っておきたい管理職の離職を防ぐポイントと対処法

2026.09.08

 

 

【役員コラム】経営者が知っておきたい管理職の離職を防ぐポイントと対処法

 

株式会社 船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング

取締役 執行役員 宮花 宙希

 

こんにちは、船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングの宮花です。


組織が拡大し、現場の体制を整えていく中で、経営者が最も頭を悩ませる問題の一つが「管理職(マネジャーや部長)の離職」です。


一般社員の離職も大きな手痛い損失ですが、管理職の離職は組織に壊滅的な打撃を与えます。チームの業務が停滞するだけでなく、後任の不在による現場の混乱、さらには「あの優秀な上司が辞めるなら……」と連鎖退職を引き起こすリスクすら孕んでいます。


今回は、中小・中堅企業の経営者が押さえるべき「管理職の離職を防ぐ予防のポイント」と、万が一「辞めたいと言われた際の経営者の対処法」についてお話しします。


なぜ管理職は去るのか? 経営者が知るべき「3つの孤立」

現場の期待を背負い、プレイヤーとしても優秀だったはずの管理職がなぜ離職を決意するのか。その本質は、彼らが抱える「孤立」にあります。


中小・中堅企業の管理職は、上からは業績目標の達成を迫られ、下からは働き方改革や多様な価値観への配慮を求められる「板挟み(プレッシャー)」の最前線にいます。経営者は、管理職が以下の3つの孤立に陥っていないかを常に点検しなければなりません。


「業務」の孤立(プレイングマネジャーの限界)

プレイヤーとしての自らの中核業務を抱えたままマネジメントもこなさざるを得ず、長時間労働が常態化している状態。


「相談」の孤立(経営陣と現場の狭間)

自分の弱音や悩みを部下に漏らすわけにはいかず、かといって忙しい経営陣にも相談できず、一人で抱え込んでしまう状態。


「評価」の孤立(報われない感)

メンバーの成長やチームの調整といった「見えにくい貢献」が経営陣から適正に評価されず、「自分の頑張りは報われているのか」と疑問を持つ状態。


管理職の離職を防ぐために経営者がやるべき予防施策

この「孤立」を取り除き、管理職が生き生きと力を発揮できる環境を作るために、経営者が取り組むべき具体策は3つあります。


① 経営陣による「壁打ち(定例対話)」の場づくり

管理職にも「話を聞いてくれる存在」が必要です。月に1度、あるいは隔週で、経営陣(社長や役員)と管理職が1対1で対話する「管理職向け1on1」を設けてください。ここでは業績の詰問をするのではなく、「最近、チームで困っていることはないか」「経営陣にサポートしてほしいことはあるか」という寄り添いと状況把握に徹します。


② 「任せる」と「放任」を履き違えない(権限移譲とバックアップ)

「現場は任せたから」と丸投げすることは、権限移譲ではなく「放任」です。管理職に裁量を与える一方で、手に負えない他部署との調整や難解なトラブルに対しては、「最後は経営陣が責任を取る」という安全網(セーフティネット)を明確に示してください。このバックアップ体制があるからこそ、管理職は安心して挑戦できます。


③ 管理職の「定量的・定性的な努力」を可視化して評価する

売上などの業績指標(KGI)だけでなく、部下の育成度、離職率の低下、チームのエンゲージメントといった「定性的なプロセス貢献」を評価項目に組み込みます。客観的なデータやエンゲージメントサーベイを活用して管理職の頑張りを可視化し、適切な称賛と報酬(手当やインセンティブ)で報いる仕組みを整えることが不可欠です。


「退職したい」と言われた際、経営者が取るべき初期対応

どんなに予防策を講じていても、管理職から「実は、お話がありまして……」と退職を切り出される瞬間は訪れ得ます。この時の「初期対応の成否」が、慰留できるか、あるいは円満な引継ぎができるかを決定づけます。


絶対にやってはいけないのは、「怒る・問い詰める」「その場ですぐに給与アップなどの条件交渉をする」「感情的に引き留める」ことです。これらは相手の決意を固くさせるだけです。


経営者が取るべき正しい対応ステップは以下の通りです。


STEP 1:まずは感情を抑え、「話してくれたことへの感謝」を伝える

不意の打診にショックを受けても、第一声は「そうか……まずは相談してくれてありがとう」と受け止めます。管理職がその決断に至るまでにどれほどの葛藤があったかを推察し、承認の姿勢を見せることが、相手の警戒心を解く第一歩です。


STEP 2:「退職の理由」ではなく「何に悩んでいたのか」を聴く

「なぜ辞めるんだ?」「どこに転職するんだ?」と理由を詰問してはいけません。

本音を隠される原因になります。

「いつ頃から、どんなことに悩んでいたのか」「会社としてサポートできる部分はなかったか」と、相手の苦悩のプロセスに共感しながら聴く(アクティブ・リスニング)姿勢を徹底してください。


STEP 3:その場で即答・決断せず、「考える時間」を置く

その場で無理に引き留めたり条件を出したりせず、「〇〇さんの存在がこの会社にとってどれだけ大切か」という存在承認(アイデンティティへの評価)を伝えた上で、「一度受け止めた上で、私もどうサポートできるか考えたい。来週もう一度話す時間をくれないか」と時間を作ります。

経営陣が本気で自分の悩みに向き合おうとしている姿勢を見せることで、一度固まった決意が揺らぎ、見直しの余地が生まれるケースは少なくありません。


管理職は、経営者の想いを現場に伝える組織の要(かなめ)です。

管理職が疲弊し、離職していく組織に、一般社員の定着や企業の持続的成長はあり得ません。


「管理職だからできて当たり前」「高いお給料を払っているのだから耐えるべき」という固定観念を捨て、「最も手厚くケアすべき経営のパートナー」として管理職に向き合うこと。その姿勢こそが、強固な組織基盤を創り出します。

 

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宮花 宙希

株式会社 船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング 取締役 執行役員

2013年に新卒で船井総合研究所に入社。入社以来、採用・育成・評価・組織開発などのHR分野のコンサルティングに従事。2022年以降、船井総合研究所のHRコンサルティング部門の責任者として活動。2024年よりHR Forceの取締役就任を経て現職。

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