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【役員コラム】採用費を積み上げるほど、なぜ「採れなく」なるのか。

2026.07.01

 

【役員コラム】採用費を積み上げるほど、なぜ「採れなく」なるのか。

 

株式会社 船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング

取締役 執行役員 山根 康平

 

「今年も採用費を増やしたのに、また採れなかった」——
こういう話を、経営者の方から年に何十回も聞きます。


話を詳しく聞いていくと、多くの場合、問題の根は予算の多寡にはありません。 採用そのものの「設計」に課題がある。私は現場に入るたびに、そう感じます。

 

今回のコラムでは、採用が構造的にうまくいきにくくなっている3つの理由を、 現場の視点からお伝えします。耳の痛い話かもしれませんが、 これを知っているかどうかで、次の一手がまったく変わります。

 

求人媒体は1,600社以上。「どこに出すか」を正確に判断できる人はほとんどいない。

国内の求人・採用支援の事業者数は、各種業界調査において1,600社を超えるとも言われています。主要な検索エンジン型に加え、 業界特化型・地域特化型・SNS活用型など、選択肢は今も増え続けています。



これほど選択肢が拡散した状態で、「自社に最も合う媒体はどこか」を正確に判断するのは容易ではありません。 業種・職種・採用エリア・ターゲット層・予算規模によって最適解は大きく異なり、 それを見極めるには相応のデータと運用経験が必要です。



その判断基準がないまま、各媒体の営業担当から「うちなら採れますよ」と提案を受け、 試してみて、採れなくて、また別の媒体に乗り換える——。 私はこのサイクルを「媒体ホッピング」と呼んでいます。

 

【出典】株式会社 船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング

 

媒体ホッピングの最大の問題は、予算が消えることだけではありません。 乗り換えるたびに過去の応募データ・効果測定データがリセットされ、 自社採用の「勝ちパターン」が永遠に蓄積されないことです。 データなき採用は、毎年ゼロから始まる消耗戦に終始します。



「どの媒体に出すか」という問いの前に、 「そもそも自社の採用で何が起きているか」を正確に可視化することが、 この問題を解く最初の一手です。

 

採用支援会社のビジネスモデルを、一度冷静に整理してみる。

採用支援会社・広告運用代行の多くは、「広告費の〇〇%」を手数料として受け取るモデルで運営されています。 このビジネスモデル自体を否定したいわけではありません。 ただ、このモデルがどういう構造的インセンティブを持つかは、 パートナーを選ぶ側の経営者として把握しておく価値があります。

 

このモデルでは、支援会社の収益は顧客の広告費の規模に連動します。 採用課題が早期に解決され広告予算が縮小すれば、手数料収入も下がる。 逆に言えば、採用が長期間うまくいかないほど、支援会社の売上は安定するという関係性が生まれやすいのです。

 

私が支援現場で繰り返し感じてきたのは、「顧客にとっての最適解」と「支援会社にとっての収益最大化」が、 必ずしも同じ方向を向かないケースがあるということです。

 

担当者が誠実に仕事をしていても、ビジネスモデルの設計が提案の方向性に影響を与えることがある。 「もう少し予算を増やしましょう」という提案が繰り返されるとき、 その背景にある構造を一度考えてみることは、経営判断として重要だと思っています。

 

良質なパートナーは確かに存在します。ただ、「誠実かどうか」と「構造的に最適な提案ができるか」は、 別の問いです。採用パートナーを選ぶ際には、この2つを切り分けて考えることをお勧めします。

 

※すべての採用支援会社に当てはまるわけではありません。顧客成果を第一に設計されたモデルも存在します。

 

採用支援を外部に委託する際の判断軸は、「担当者が信頼できるか」だけでなく、 「その会社のビジネスモデルが、自社の採用成功と利益が一致しているか」まで踏み込むべきです。 これは厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、経営者として採用費を投じる以上、 避けて通れない視点だと私は考えています。

 

応募数という数字の、誰も教えてくれない正体。

 

求人媒体の多くは、求職者が複数社へ一括で応募できる機能を提供しています。 求職者にとっては手間が省けて便利に見えます。 しかし企業側にとっては、自社に本当に関心のある求職者と、 とりあえず応募しただけの求職者が、同じ「1件」としてカウントされることを意味します。

私たちの支援データをもとにした推計では、 一括応募経由の応募のうち、約67%は実質的な無効応募(面接辞退・無断不参加・早期内定辞退等)に該当すると見ています。 この数字を初めて聞いたとき、驚かれる経営者の方は少なくありません。

 

【出典】株式会社 船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング

 

このファネルで最も深刻なのは、数字の悪さそのものではなく、 「現場が消耗し続けること」です。 採用担当者は面接に来ない人へのリマインド連絡に追われ、 採用決定後も早期離職で再募集が始まる。 そのループが、現場のモチベーションとチームの生産性を少しずつ削っていきます。

「応募数を増やす」という発想を起点にしている限り、このループは止まりません。 問うべきは「何件応募が来たか」ではなく、「どれだけ自社に本気で来たい人に届いたか」です。 この問いの転換が、採用設計を根本から変えます。
 

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採用費を増やしても思うように採れない。
媒体を変えても状況が大きく変わらない。
採用担当が疲れ、現場も回らなくなっていく。

その悩みの多くは、予算や媒体の問題ではなく、 採用の「設計」そのものに起因しています。

採用を「消耗するコスト」ではなく「経営への投資」として再設計したとき、 現場に何が起きるのか——次回のコラムで、具体的にお伝えします。

「構造を知ること」が、採用を変える最初の一手です。

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長文をお読みいただき、ありがとうございました。
採用に関してご質問・ご相談があれば、いつでもお気軽にご連絡ください。


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山根 康平

株式会社 船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング 取締役 執行役員

1990年山口県萩市生まれ。福岡大学を卒業後、2013年に船井総合研究所に入社。中堅中小企業向け人的資本経営の専門家であり、特に採用力向上を得意としている。「中小企業を人の悩みから解放する」をコンサルティングスタンスにしており、机上の空論ではなく実現可能性の高い提案のみで構成されたコンサルティングは多くの経営者から支持されている。2025年よりHR Force取締役を経て現職。その他、採用コンサルティング・ソリューション部、HRビジネスコンサルティング部のマネージング・ディレクターも兼務している。

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