【中小規模の自動車販売業界向け】整備士採用強化のポイント
2026.06.08
本コラム記事では、中小規模の自動車販売会社向けに、整備士採用を強化するための採用ターゲット設計、求人訴求、教育体制、職場環境改善、若手・未経験者採用、定着施策のポイントを解説しています。この機会にぜひご覧ください。
1.自動車販売業界で整備士採用が重要になる理由
中小規模の自動車販売会社にとって、整備士採用は店舗運営と業績を支える重要な経営課題です。自動車販売では、販売後の車検、点検、修理、整備、保証対応、リコール対応、納車前整備などが継続的に発生します。
営業職が車を販売できても、整備部門の人材が不足していれば、納車スピードやアフターサービス品質に影響が出ます。結果として、顧客満足度の低下、再来店率の低下、紹介減少、整備売上の機会損失につながる可能性があります。
国土交通省は、自動車整備要員の人材確保・育成に関する情報を公表しており、若者や女性に自動車整備士の魅力を伝える啓発活動、女性が働きやすい環境づくりのガイドライン、仕事体験学習の受入れマニュアルなどを示しています。これは、自動車整備士の人材確保が業界全体の重要テーマであることを示しています。
また、中小企業庁の2025年版中小企業白書では、中規模企業・小規模事業者ともに「人材確保」を重視する割合が高く、人材不足への対応が企業規模を問わない共通課題であることが示されています。
2.整備士採用は経験者採用だけに頼らない
整備士採用を強化する際、多くの自動車販売会社は経験者や有資格者を求めます。もちろん、即戦力となる整備士の採用は重要です。しかし、経験者市場だけに頼ると、採用競争が激しくなり、応募数が伸びにくくなります。
中小規模の自動車販売会社では、経験者採用と並行して、未経験者、整備士学校卒業予定者、第二新卒、異業種からの転職希望者を育てる仕組みが必要です。
求人では、「整備士資格必須」とするだけでなく、「入社後に資格取得を目指せる」「工具の使い方から学べる」「先輩整備士が段階的に教える」など、育成前提の採用訴求を用意することが大切です。
整備士採用は、今すぐ働ける人を探す活動であると同時に、将来の工場長、サービスフロント、検査員、整備部門責任者を育てる入口でもあります。短期採用と中長期育成を分けて考えることが重要です。
3.求人原稿では整備士の仕事内容を具体的に伝える
整備士の仕事は、外部から見ると「車を修理する仕事」として一括りにされがちです。しかし実際には、定期点検、車検整備、故障診断、部品交換、納車前点検、顧客への説明、整備記録の作成など、幅広い業務があります。
求人原稿では、仕事内容をできるだけ具体的に伝えることが重要です。特に未経験者や若手人材は、「どの作業から任されるのか」「資格がなくても応募できるのか」「一人前になるまで何年かかるのか」を不安に感じやすいです。
たとえば、入社後1か月は洗車、納車準備、工具の扱い、点検補助から始めるといった流れを示すと、候補者は働く姿を想像しやすくなります。経験者向けには、扱う車種、設備環境、検査員資格者の有無、残業時間、整備台数、評価制度などを明確に伝えることが有効です。
中小規模の自動車販売会社では、大手企業のような知名度がなくても、地域密着、顧客との近さ、幅広い整備経験、経営者との距離の近さを強みにできます。求人原稿では、自社ならではの仕事の魅力を具体化する必要があります。
4.職場環境の改善を採用力につなげる
整備士採用を強化するには、求人広告を増やすだけでは不十分です。候補者は、給与や休日だけでなく、作業環境、設備、工具、休憩スペース、人間関係、安全管理、残業時間を見ています。
国土交通省の「自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン」では、労働時間や休日、安全な職場環境、休暇を取得しやすい雰囲気づくりなど、整備要員の健康・安全を確保するための視点が示されています。
採用サイトや求人原稿では、工場内の写真、休憩室、工具・設備、リフト台数、冷暖房対策、作業服支給、安全教育、残業削減の取り組みなどを伝えると、候補者の安心感が高まります。
特に若手人材や未経験者は、整備工場に対して「きつい」「汚い」「危険」といったイメージを持つことがあります。職場環境の改善を進め、その内容を採用広報で見える化することが、応募数と内定承諾率の向上につながります。
5.若手・学生向けの接点づくりを強化する
整備士採用では、求人を出して待つだけでは十分ではありません。若手人材や学生に対して、自動車整備の仕事を知ってもらう接点づくりが重要です。
国土交通省は、自動車整備事業者向けに、高校生向け仕事体験学習の受入れマニュアル・事例集や、社会科見学の受入れマニュアル・事例集を公表しています。これは、若年層に整備士の仕事を知ってもらう機会づくりが、人材確保において重要であることを示しています。
中小規模の自動車販売会社でも、地域の高校、専門学校、職業訓練校との関係づくりが有効です。職場見学、インターンシップ、仕事体験、整備工場見学、先輩社員との座談会などを実施すれば、学生に会社の雰囲気を伝えやすくなります。
若手採用では、すぐに応募につながらなくても、地域の中で「整備士を育てる会社」として認知されることが大切です。長期的な採用力は、こうした接点づくりから生まれます。
6.多様な人材が働ける環境を整える
整備士採用を強化するには、採用対象を広げることも重要です。これまで男性中心の職場という印象が強かった整備業界でも、多様な人材が活躍できる環境づくりが求められています。
中小規模の自動車販売会社では、更衣室、休憩室、トイレ、作業服、重量物対応、コミュニケーション環境などを見直すことで、応募対象を広げられます。女性、若手、ベテラン、未経験者、子育て中の人材などが働きやすい職場は、採用面でも強みになります。
採用広報では実際にどのような設備や制度を整えているのかを具体的に伝えることが重要です。多様な人材が安心して働ける環境は、採用力だけでなく定着率の向上にもつながります。
7.教育制度と資格取得支援を明確にする
整備士採用では、教育制度と資格取得支援が大きな訴求要素になります。未経験者や若手人材は、「整備士資格を取れるのか」「どのように技術を身につけるのか」「先輩が教えてくれるのか」を重視します。
厚生労働省の人材開発支援助成金では、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどが紹介されています。企業が従業員に職務関連の知識・技能を習得させる訓練を行う際、制度活用を検討できる場合があります。
自動車販売会社では、三級整備士、二級整備士、自動車検査員、メーカー資格、保険関連資格など、段階的な成長ルートを示すことが重要です。資格取得費用の補助、講習参加支援、試験前の勤務調整、合格時の手当などを整えると、採用時の魅力が高まります。
教育制度は、求人原稿だけでなく、面接や会社説明でも丁寧に伝えるべきです。「未経験でも育てます」という表現だけではなく、「いつ、誰が、何を、どの順番で教えるのか」を示すことで、候補者の不安を減らせます。
8.整備士の評価制度とキャリアパスを見える化する
整備士採用を強化するには、入社後の評価制度とキャリアパスを分かりやすく示すことが重要です。候補者は、入社後にどのように成長し、どのように給与が上がり、どのような役割を目指せるのかを知りたいと考えています。
整備士の評価は、単に作業スピードだけで見るべきではありません。整備品質、ミスの少なさ、顧客説明力、後輩指導、資格取得、チーム貢献、安全意識、業務改善提案なども評価に含めることが大切です。
キャリアパスとしては、一般整備士、リーダー、検査員、工場長、サービスフロント、整備部門責任者、店舗責任者などの道筋を示せます。中小規模の自動車販売会社では、一人ひとりの役割が広いため、多様なキャリアを用意しやすい面もあります。
評価制度が曖昧なままだと、入社後の不満や離職につながります。採用段階から成長の道筋を伝えることで、候補者は長く働くイメージを持ちやすくなります。
9.営業部門と整備部門の連携を採用訴求に活かす
自動車販売会社における整備士の仕事は、整備工場の中だけで完結するものではありません。営業職、サービスフロント、保険担当、受付、経営者と連携しながら、顧客のカーライフ全体を支える役割を担います。
そのため、採用訴求では「整備だけを黙々と行う仕事」ではなく、「お客様の安心と店舗の信頼を支える仕事」として伝えることが重要です。整備士が顧客説明に関わることで、整備提案の納得感が高まり、リピートや紹介にもつながります。
中小規模の自動車販売会社では、営業と整備の距離が近いことが強みになります。大型組織では分業されがちな業務も、地域密着の会社では部門を越えて連携しやすい場合があります。
候補者に対しては、整備士が店舗全体の業績や顧客満足に貢献できることを伝えると、仕事の意義が伝わりやすくなります。整備士採用では、技術職としての魅力だけでなく、地域顧客を支える役割も発信すべきです。
10.結論・まとめ
中小規模の自動車販売業界で整備士採用を強化するには、経験者採用だけに頼らず、未経験者や若手を育てる仕組みを整えることが重要です。求人原稿では、仕事内容、教育制度、資格取得支援、職場環境、キャリアパスを具体的に伝える必要があります。
また、整備士採用では、働きやすい職場づくりが採用力に直結します。労働時間、休日、安全環境、設備、休憩スペース、人間関係、評価制度を見直し、その改善内容を採用広報で発信することが大切です。
さらに、学生や若手との接点づくり、女性整備士が働きやすい環境整備、営業部門との連携強化も、採用力向上につながります。
整備士は、自動車販売会社の納車品質、アフターサービス、顧客満足、リピート、紹介を支える重要な人材です。採用、教育、評価、定着を一体で見直すことで、中小規模の自動車販売会社でも整備士採用を強化し、持続的な成長につなげることができます。
11. 参考資料
国土交通省|自動車整備要員の人材確保・育成について
国土交通省|【改訂版】自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン(令和7年6月)
国土交通省|女性が働きやすい環境づくりのためのガイドライン
国土交通省|高校生向け仕事体験学習の受入れマニュアル・事例集
国土交通省|社会科見学の受入れマニュアル・事例集
中小企業庁|2025年版「中小企業白書」第1部第1章第3節 雇用環境・労働移動
中小企業庁|2025年版「中小企業白書」第2部第1章第4節 人材戦略
厚生労働省|人材開発支援助成金
厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース)申請書類
12. 人材採用・募集活性化・1on1・人材定着・離職防止・人的資本経営などに関する無料相談とお問い合わせ
船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングでは、人材採用・募集活性化・1on1・人材定着・離職防止・人的資本経営・新規事業参入などに関する無料相談やお問い合わせを受付しております。この機会にぜひ下記詳細をご確認の上、お申し込みください。
<詳細・お申し込みはこちらから>
⇒ https://www.hc.funaisoken.co.jp/pages/consultation
<人材定着コンサルティング・1on1コンサルティング詳細・お申し込みはこちら>
⇒ https://www.hr-force.co.jp/1on1-consulting
関連コラム
- 自動車(販売店)業界の人事評価制度・賃金制度の作り方や方法・展望・ポイント
- 〖中小規模の自動車販売業界向け〗営業職採用強化のポイント
- 不動産業界での人材採用における動向・展望・ポイントとは?
- 【採用ブランディング】人手不足の中小企業で人材採用を強化する方法とポイント
- 採用ブランディングとは?目的や取り組み方を解説
- 〖RPO(採用代行)〗人手不足の中小企業で人材採用を強化する方法とポイント
- 〖注目のダイレクトリクルーティング〗人手不足の中小企業必見!市場規模と導入メリット
- 《経営層・人事責任者向け》採用の「常識」が、企業の成長を止めているかもしれない
- 採用費が上がり続ける会社と、下がり続ける会社の違い
- 一人当たり採用にかかるコストは?内訳や相場、推移を解説


