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【地域の自動車学校業界向け】1on1で管理職育成を推進する方法とポイント

2026.06.24

 

 

本コラム記事では、地域の自動車学校の経営者・幹部向けに、1on1を活用して校長、教習部門責任者、受付責任者、送迎責任者、管理職候補を育成し、教習品質・人材定着・学校運営力の向上につなげる方法を解説しています。この機会にぜひご覧ください。

 

1.地域の自動車学校業界で管理職育成が重要になる理由

地域の自動車学校は、普通自動車免許や二輪免許の取得支援だけでなく、高齢者講習、企業向け安全運転教育、地域の交通安全啓発など、地域社会の安全な移動を支える役割を担っています。

そのため、自動車学校の管理職には、売上や入校者数を見る力だけでなく、教習品質、安全管理、教習生対応、受付対応、送迎運行、指導員育成、地域からの信頼を総合的に管理する力が求められます。

管理職は、現場任せで教習を回すだけでなく、制度や標準を理解したうえで、学校全体の教習品質を維持する役割を担います。

地域の自動車学校にて、経営者や校長だけが現場判断を抱える体制では、繁忙期対応、教習指導員の育成、受付・送迎部門の改善、地域営業の強化を進めにくくなります。

自動車学校の管理職育成が遅れると、教習指導員は育たず、受付事務は属人化し、送迎担当は安全運行上の不安を抱え、校長や経営者に判断が集中します。

その結果、現場が忙しいにもかかわらず改善が進まず、社員の不満が蓄積し、教習生満足度や口コミにも影響する可能性があります。

1on1は、管理職候補の悩みを聞くだけの面談ではありません。

経営者や幹部が、管理職候補に期待する役割を伝え、日々の判断を振り返り、教習品質・人材育成・部門連携・学校運営の視点を育てるための継続的な対話です。

地域の自動車学校が持続的に運営を強化するためには、経営者依存を減らし、校長、教習部門責任者、受付責任者、送迎責任者が自ら判断できる組織を作ることが重要です。

 

2.管理職候補は「教習が上手い人」だけで選ばない

自動車学校では、教習が上手い指導員、教習生からの評判が良い指導員、検定や学科教習に詳しいベテラン指導員が、管理職候補になりやすい傾向があります。

もちろん、教習技術や現場経験は管理職にとって重要な土台です。

しかし、教習が上手い人が、そのまま若手指導員を育てられるとは限りません。

教習生対応が丁寧な人が、そのまま教習スケジュール、指導員配置、受付との連携、送迎との調整、学校全体の品質管理まで担えるとは限りません。

管理職に必要なのは、個人として教習を行う力に加えて、人を育てる力、部門全体を見る力、教習生と社員の双方を支える力、経営方針を現場に伝える力です。

1on1では、管理職候補に対して、「今できている仕事」と「これから担ってほしい役割」を分けて伝える必要があります。

たとえば、教習指導員には「教習生に分かりやすく教えるだけでなく、若手指導員の教習を見て、改善点を伝えられるようになってほしい」と伝えます。

受付事務の中核人材には「窓口対応ができるだけでなく、予約管理、電話対応、繁忙期の業務分担、教習生への案内資料の改善まで見てほしい」と伝えます。

送迎担当の中核人材には「安全に送迎するだけでなく、送迎ルートの見直し、時間設定、車両管理、受付との情報連携まで考えてほしい」と伝えます。

「仕事ができるから管理職をやってほしい」という伝え方だけでは、本人は何を変えればよいか分かりません。

管理職候補には、「これからは自分の業務だけでなく、学校全体の品質と人材育成を支える役割を担ってほしい」と具体的に伝えることが重要です。

 

3.1on1では管理職に必要な視点を段階的に育てる

管理職候補を育てる際に、いきなり「学校全体を見なさい」「経営者視点を持ちなさい」と伝えても、本人は何をすればよいか分からないことがあります。

自動車学校の現場では、技能教習、学科教習、検定、入校手続き、予約変更、配車、送迎、講習対応、教習生や保護者からの問い合わせなど、日々の業務が多く発生します。

管理職候補は目の前の担当業務に追われやすく、学校全体を見渡す余裕を持ちにくい状態になりがちです。

そのため、1on1では、管理職に必要な視点を段階的に育てることが重要です。

最初の段階では、自分の担当業務を安定して行い、報告連絡相談を確実にすることを確認します。

次の段階では、周囲の社員の動きに気づき、困っている若手指導員、受付事務、送迎担当に声をかけることを目標にします。

さらに次の段階では、教習スケジュール、繁忙期の人員配置、教習生満足度、受付対応、送迎ルート、若手育成、地域営業まで視野を広げます。

1on1では、

「最近、学校全体で気になっていることはありますか」

「若手指導員がつまずきやすい場面はどこですか」

「受付や送迎との連携で改善した方がよい点はありますか」

と問いかけることが有効です。

こうした問いかけを続けることで、本人の視点は「自分の担当業務」から「学校全体の状態」へ広がります。

管理職育成では、役職を与えてから育てるのではなく、役職を与える前から管理職視点を育てることが重要です。

1on1は、管理職候補が日々の実務を振り返り、視野を広げていくための育成機会になります。

4.校長候補には学校全体の運営と地域経営をつなぐ力を育てる

校長候補には、教習品質だけでなく、学校全体の経営と地域での存在価値を理解する力が求められます。

地域の自動車学校では、入校者数、稼働率、教習生満足度、指導員配置、検定対応、高齢者講習、企業講習、送迎体制、地域広報など、複数の要素が学校運営に関わります。

校長候補が教習部門だけを見ていると、受付、送迎、営業広報、地域連携、採用育成とのつながりが弱くなります。

1on1では、校長候補に対して、学校全体の数字と現場課題を結びつけて考える問いかけが重要です。

「入校者数が伸びている時期に、教習スケジュールや受付対応で無理が出ていませんか」

「繁忙期の教習生満足度を下げないために、どの部門の連携を強化すべきですか」

「地域で選ばれる自動車学校になるために、教習品質以外で改善すべき点は何ですか」

このような問いかけを通じて、校長候補は数字と現場を分けて考えるのではなく、学校運営全体として捉えられるようになります。

また、校長候補には、社員の状態を見る力も必要です。

指導員が疲弊していないか、受付事務に負担が集中していないか、送迎担当が安全運行上の不安を抱えていないか、若手社員が孤立していないかを把握することが求められます。

学校経営は、教習生を集めるだけでは成り立ちません。

社員が安心して働き、教習品質を維持し、地域から信頼される運営を継続することで、安定した経営につながります。

校長候補への1on1では、教習現場の管理者から、学校全体の経営を担う人材へ視座を高めることが重要です。

 

5.教習部門責任者には教習品質と指導員育成を両立する力を育てる

教習部門責任者には、技能教習や学科教習の品質を維持しながら、若手指導員や指導員候補を育てる力が求められます。

教習指導員の仕事は、運転操作を教えるだけではありません。

教習生の理解度、不安、運転への苦手意識、安全確認の癖、判断の遅れを見極めながら、段階的に成長を支援する仕事です。

教習部門責任者候補との1on1では、本人の教習技術だけでなく、部門全体をどう見ているかを確認することが重要です。

「若手指導員が指導でつまずいている場面はどこですか」

「教習生からの不安やクレームに共通点はありますか」

「学科教習や技能教習で、説明方法を統一した方がよい部分はありますか」

「繁忙期に教習品質を落とさないために、どのような体制が必要ですか」

こうした質問を通じて、教習部門責任者候補に、個人の教習力ではなく、部門全体の教習品質を管理する視点を育てます。

また、若手指導員の育成では、教習同乗、模擬教習、振り返り、指導方法の共有、教習生対応の相談機会を設けることが重要です。

忙しい時期ほど、若手指導員の教育は後回しになりがちです。

しかし、教育を後回しにすると、若手指導員が自信を持てず、教習生対応に不安を抱え、結果として離職リスクも高まります。

教習部門責任者の1on1では、教習品質、若手育成、教習生対応、繁忙期の体制を一体で確認し、部門全体を任せられる人材へ育てることが重要です。

 

6.技能検定員・ベテラン指導員には判断基準を伝える力を育てる

技能検定員やベテラン指導員は、自動車学校の教習品質を支える重要な人材です。

長年の経験に基づいて、教習生の運転傾向、危険予測、技能の到達度、検定前の課題を見極める力を持っています。

一方で、ベテラン人材が持つ判断基準が言語化されていないと、若手指導員に技術や考え方が引き継がれにくくなります。

「見れば分かる」「経験すれば分かる」という教え方だけでは、若手指導員は成長しにくくなります。

1on1では、技能検定員やベテラン指導員に対して、本人の経験を組織の教育資産に変える問いかけが重要です。

「若手指導員に最初に身につけてほしい判断基準は何ですか」

「教習生の危険な癖を見抜くとき、どこを見ていますか」

「検定前に不安が残る教習生には、どのような声かけをしていますか」

「若手に伝えにくいと感じている教習上の勘所はありますか」

こうした問いかけによって、ベテラン人材の暗黙知を言葉にし、若手育成に活かすことができます。

また、ベテラン人材には、責任が集中しやすい点にも注意が必要です。

検定、若手育成、クレーム対応、繁忙期の穴埋め、管理職補佐が重なると、本人の負担は大きくなります。

1on1では、ベテラン人材を「頼れる人」として任せるだけでなく、負担の偏りや処遇、役割の明確化も確認する必要があります。

技能検定員やベテラン指導員を管理職育成に巻き込むことは、学校全体の教習品質を高めるうえで欠かせません。

ただし、経験に頼りきるのではなく、経験を標準化し、若手に伝えられる仕組みにすることが重要です。

 

7.受付責任者には教習生対応と業務改善の力を育てる

受付部門は、自動車学校の第一印象を決める重要な部門です。

入校希望者への案内、教習生への予約説明、保護者対応、電話対応、配車、キャンセル対応、講習案内、書類管理など、受付業務は学校運営の安定に直結します。

受付責任者には、窓口対応の丁寧さだけでなく、業務の流れを整え、受付スタッフが安心して働ける環境を作る力が求められます。

1on1では、受付責任者候補に対して、日々の対応件数やミスだけでなく、業務改善の視点を持たせることが重要です。

「問い合わせが集中する時間帯はどこですか」

「同じ説明を何度もしている内容はありますか」

「教習生や保護者が不安に感じやすいポイントはどこですか」

「指導員や送迎担当との情報共有で改善したい点はありますか」

このような問いかけを通じて、受付責任者候補は、現場で起きている不満やミスを個人の問題ではなく、業務設計の問題として捉えやすくなります。

たとえば、予約変更の電話が集中する場合は、案内方法やWeb予約の使い方説明を見直す必要があるかもしれません。

配車ミスが起きやすい場合は、受付と教習部門の確認手順を整える必要があります。

保護者から同じ質問が多い場合は、入校時資料やWebサイトの情報を改善する必要があります。

受付責任者は、単なる窓口リーダーではありません。

教習生の不安を減らし、指導員や送迎担当との連携を整え、学校全体のサービス品質を高める管理職です。

1on1では、受付責任者候補に、顧客対応、業務改善、スタッフ育成、部門間調整の視点を段階的に育てることが大切です。

 

8.送迎責任者には安全運行とサービス設計の力を育てる

地域の自動車学校では、送迎体制が入校しやすさを左右する場合があります。

特に公共交通が限られる地域では、送迎バスや送迎車両の利便性が、教習生や保護者にとって大きな判断材料になります。

送迎責任者には、安全運行だけでなく、ルート設計、時間管理、車両管理、受付との情報共有、教習生への案内、悪天候時の判断を管理する力が求められます。

1on1では、送迎責任者候補に対して、運転業務だけでなく、送迎サービス全体を見る視点を育てる必要があります。

「時間設定に無理があるルートはありませんか」

「乗車場所が分かりにくい教習生はいませんか」

「受付から送迎担当への情報共有で遅れが出ていませんか」

「車両点検や安全確認のルールは現場で守りやすいですか」

このような質問を通じて、送迎責任者候補は、安全運行と教習生サービスを一体で考えられるようになります。

送迎担当は一人で動く時間が長く、職場内で孤立しやすい職種です。

そのため、送迎責任者には、担当者の不安を聞き取り、危険箇所、時間的負担、車両状態、教習生対応の悩みを早期に把握する力も必要です。

また、送迎ルートは、教習生の利便性を高める一方で、無理に広げすぎると安全運行や時間管理に負担が出ます。

送迎責任者候補との1on1では、入校促進のための利便性と、安全運行・業務負担のバランスを考えさせることが重要です。

送迎責任者は、単なる配車担当ではなく、地域の教習生が安心して通える学校づくりを支える管理職です。

 

9.営業・広報責任者には地域から選ばれる学校づくりの視点を育てる

地域の自動車学校では、少子化や人口減少の影響を受け、従来の入校者獲得だけでは安定経営が難しくなる場合があります。

そのため、営業・広報責任者には、高校・大学・専門学校との関係づくり、地域企業への安全運転教育提案、高齢者講習の案内、WebサイトやSNSの情報発信、口コミ改善など、幅広い役割が求められます。

1on1では、営業・広報責任者候補に対して、単なる集客活動ではなく、地域から選ばれる学校づくりの視点を育てることが重要です。

「入校希望者は何を見て学校を選んでいますか」

「保護者が安心する情報は十分に発信できていますか」

「地域企業に対して、安全運転教育や講習を提案できていますか」

「教習生の口コミや紹介につながる体験は作れていますか」

このような問いかけを通じて、営業・広報責任者候補は、広告やキャンペーンだけでなく、学校全体の顧客体験を改善する視点を持ちやすくなります。

自動車学校の広報は、料金やキャンペーンを伝えるだけでは不十分です。

教習の分かりやすさ、指導員の雰囲気、受付の対応、送迎の利便性、保護者への安心感、卒業後の安全運転意識まで伝えることが重要です。

営業・広報責任者が育てば、学校の魅力を地域に分かりやすく発信できるようになります。

また、現場の教習品質や受付対応を把握していれば、実態とずれた広報を避けることもできます。

1on1では、営業・広報責任者候補に、地域ニーズ、教習生目線、保護者目線、企業ニーズ、現場改善をつなげる力を育てることが重要です。

 

10.1on1で部下育成の悩みを引き出す

管理職候補がつまずきやすいテーマの一つが、部下育成です。

自動車学校では、教習指導員、受付事務、送迎担当、営業・広報担当など、職種ごとに必要な知識やスキルが大きく異なります。

教習指導員には教習技術と教習生対応が必要であり、受付事務には正確性と対人対応力が必要であり、送迎担当には安全運行と時間管理が必要です。

そのため、管理職候補には、相手の職種や経験に合わせて教え方を変える力が求められます。

1on1では、管理職候補に対して、「部下育成で困っていることは何か」を具体的に聞くことが重要です。

「若手指導員が教習でつまずいている場面はどこですか」

「受付スタッフが不安を感じている業務は何ですか」

「送迎担当に安全面の注意を伝えるとき、どのように話していますか」

「注意した後に、相手の行動は変わっていますか」

管理職候補が部下への不満を話した場合は、すぐに否定するのではなく、事実と解釈を分けて整理することが大切です。

「何が起きたのか」

「本人にはどう伝えたのか」

「相手はどう受け取ったのか」

「次にどう伝えれば行動が変わるか」

この流れで振り返ることで、管理職候補の指導力は高まります。

部下育成は、管理職が自然に身につけるものではありません。

経営者や幹部が1on1を通じて、管理職候補の教え方、任せ方、声のかけ方を育てる必要があります。

管理職候補が部下を育てられるようになれば、校長や経営者がすべてを教える体制から脱却しやすくなります。

 

11.管理職候補の孤立を防ぐ

管理職や責任者は、経営者と一般社員の間に立つため、孤立しやすい立場です。

校長候補は、経営者から学校全体の運営成果を求められ、社員からは人間関係や業務負担の相談を受け、教習生や保護者からは問い合わせやクレームを受ける立場になります。

教習部門責任者は、教習品質と指導員配置を守りながら、若手指導員の育成や教習生対応も担います。

受付責任者は、教習生や保護者の不安を受け止めながら、受付スタッフの業務負担やミス防止にも向き合います。

送迎責任者は、安全運行を守りながら、ルート設計や時間管理、送迎担当の不安にも対応します。

このような役割を任せた後に、経営者や幹部が十分に支援しなければ、管理職候補は疲弊しやすくなります。

1on1では、「最近、抱え込んでいることはありませんか」「自分だけでは判断しづらい案件はありますか」「部下との関係で困っていることはありますか」「経営側に決めてほしいことはありますか」と定期的に確認します。

管理職候補が相談できる状態を作ることで、学校内の問題を早期に把握できます。

また、管理職候補が経営層に相談できる関係を持てれば、部下に対しても落ち着いた対応をしやすくなります。

管理職育成では、責任を任せることが必要です。

しかし、任せた後に放置すると、管理職候補は孤立し、部下育成や学校運営に悪影響が出る可能性があります。

1on1は、責任と支援のバランスを取るための仕組みです。

 

12.1on1で経営方針を現場に落とし込む

管理職は、経営方針を現場に伝える重要な役割を担います。

しかし、経営者が方針を発信しても、校長や各部門責任者が十分に理解していなければ、現場には正しく伝わりません。

自動車学校では、入校者数の確保、教習品質の向上、高齢者講習対応、指導員採用、受付対応改善、送迎効率化、地域企業向け講習、口コミ改善など、経営方針が多岐にわたります。

これらを現場に浸透させるには、管理職候補自身が「なぜ今それを進めるのか」を理解している必要があります。

1on1では、経営者や幹部が管理職候補に方針を一方的に伝えるだけでは不十分です。

「今期、学校として最も重視していることは何だと思いますか」

「部下に説明するなら、どのように伝えますか」

「現場で反発や混乱が起きそうな点はどこですか」

このように問いかけ、本人の理解度を確認します。

たとえば、教習品質向上を進める場合、教習部門責任者がその必要性を理解していなければ、若手指導員への指導は表面的になります。

受付対応改善を進める場合、受付責任者が目的を理解していなければ、単なる接遇強化で終わり、予約管理や案内資料の改善まで進みません。

送迎効率化を進める場合、送迎責任者が安全運行と利便性の両立を理解していなければ、現場の不満が増える可能性があります。

1on1で経営方針と現場実態をすり合わせることで、管理職候補は経営と現場をつなぐ役割を担いやすくなります。

管理職育成における1on1は、単なる個人面談ではなく、経営方針を学校全体に浸透させるための重要な接点です。

 

13.任せる範囲を段階的に広げる

管理職育成では、研修や面談だけでなく、実際に任せる経験が必要です。

ただし、いきなり教習部門全体、受付部門全体、送迎管理、クレーム対応、若手育成、繁忙期運営を任せると、本人が負担を感じ、失敗したときに自信を失う可能性があります。

そのため、1on1では、管理職候補に任せる範囲を段階的に広げることが重要です。

最初は、朝礼での共有、若手への業務説明、教習後の振り返り、予約状況の確認、送迎ルートの一部見直しなど、小さな役割から始めます。

次に、小規模チームの段取り、若手指導員の育成、受付業務の改善、送迎担当との安全確認、教習生対応の改善提案などを任せます。

さらに、部門の数値管理、部下の育成計画、繁忙期の人員配置、教習品質改善、部門間会議の進行、採用面接への同席などへ広げていきます。

1on1では、任せた役割について必ず振り返ります。

「やってみて難しかったことは何ですか」

「次回はどこを改善したいですか」

「部下や他部門の反応はどうでしたか」

「学校としてどのような支援が必要ですか」

任せるだけでは、経験は単なる負担になることがあります。

任せた後に1on1で振り返り、学びに変えることで、管理職候補は着実に成長しやすくなります。

 

14.管理職育成を評価制度と連動させる

1on1で管理職育成を進める場合、評価制度との連動も重要です。

管理職候補に部下育成、教習品質改善、受付対応改善、送迎ルート見直し、地域広報、繁忙期運営を求めても、それが評価や処遇に反映されなければ、本人の納得感は高まりません。

自動車学校では、教習指導員は教習コマ数や教習生からの評価が見られやすく、受付事務はミスの少なさや窓口対応が見られやすい傾向があります。

一方で、若手育成、教習品質の標準化、予約管理の改善、送迎安全体制の整備、部門間連携、学校全体への改善提案といった管理職としての貢献は見えにくくなりがちです。

中小企業庁の2025年版中小企業白書では、人材育成や人事評価制度による明確・公正な評価が、定着率を高める可能性が示されています。地域の自動車学校でも、管理職候補に求める役割を評価制度に反映し、何を頑張れば管理職として評価されるのかを明確にすることが重要です。

評価項目には、若手指導員の育成、受付スタッフの定着、送迎担当の安全管理、教習生満足度、クレーム初期対応、改善提案件数、部門間連携、繁忙期運営、地域向け施策などを入れることが考えられます。

1on1では、これらの評価項目について、本人がどの程度できているか、次に何を伸ばすべきかを確認します。

1on1を毎回の査定面談にする必要はありません。

しかし、1on1で話している成長課題が評価制度とつながっていることは重要です。

管理職候補が「何を頑張れば管理職として評価されるのか」を理解できれば、行動は変わりやすくなります。

 

15.人材開発支援制度も視野に入れて育成を設計する

管理職育成は、現場経験と1on1だけで完結するものではありません。

必要に応じて、教習指導研修、接遇研修、管理職研修、部下育成研修、安全管理研修、クレーム対応研修、デジタル活用研修などを組み合わせることが有効です。

厚生労働省の人材開発支援助成金では、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどが紹介されており、職務関連の知識・技能習得を支援する制度が整理されています。令和8年5月14日以降の支給申請に関する制度改正情報も公表されています。

地域の自動車学校の管理職候補には、教習・受付・送迎・地域営業の実務だけでなく、数値管理、部下育成、労務管理、教習生対応、保護者対応、事故防止、学校運営改善などを体系的に学ばせる必要があります。

ただし、研修を受けさせるだけでは、現場での行動は変わりません。

1on1では、研修で学んだことを学校運営でどう活かすかを確認する必要があります。

「研修で印象に残ったことは何ですか」

「自校で使えそうな考え方は何ですか」

「来月までに実践することは何ですか」

このように問いかけることで、学びを行動につなげられます。

管理職育成では、研修、現場経験、1on1を組み合わせることが重要です。

研修で知識を得て、現場で実践し、1on1で振り返る流れを作ることで、管理職候補は実務に根ざした成長をしやすくなります。

 

16.1on1を経営者だけで抱えず、既存管理職にも広げる

地域の自動車学校では、経営者や校長が管理職候補と直接1on1を行うことがあります。

初期段階では、経営者や校長が直接対話することで、学校の方針や期待を伝えやすくなります。

しかし、社員数や部門数が増えてくると、経営者や校長だけですべての1on1を続けることは難しくなります。

そのため、1on1を教習部門責任者、受付責任者、送迎責任者、営業・広報責任者にも広げ、学校全体で管理職育成を進める仕組みにする必要があります。

ただし、1on1を任せる側の管理職自身が、部下の話を聞く力や育成する力を持っていなければ、面談が単なる業務確認や注意の場になってしまいます。

まずは、1on1を実施する管理職に対して、面談の目的、質問の仕方、聞き方、記録方法、改善につなげる方法を教える必要があります。

また、1on1で得た内容を共有する際には、個人のプライバシーに配慮しながら、組織改善に必要な情報だけを整理することが大切です。

たとえば、「若手指導員が教習方法に不安を感じている」「受付事務に予約変更対応が集中している」「送迎担当が特定ルートに安全不安を持っている」といった傾向は、個人名を出さずに学校運営課題として扱えます。

1on1を学校の文化として根付かせるには、経営者や校長が最初に見本を示し、その後に既存管理職へ広げる流れが有効です。

管理職育成の1on1は、一部の人だけが行う特別な面談ではなく、学校全体で人を育てる仕組みにしていくことが重要です。

 

17.経営者・幹部が確認すべき管理職育成の指標

1on1で管理職育成を進めるには、実施状況や成長状況を数字でも確認する必要があります。

感覚だけで「育っている」「まだ任せられない」と判断すると、育成が属人的になりやすくなります。

経営者・幹部が確認すべき指標としては、管理職候補者数、1on1実施率、校長候補者数、教習部門責任者候補者数、受付責任者候補者数、送迎責任者候補者数、若手社員の定着率、部下の離職率、改善提案件数、教習生満足度、クレーム件数、繁忙期の残業時間などがあります。

たとえば、管理職候補が担当するチームで若手指導員の定着率が高まっていれば、育成力が向上している可能性があります。

受付部門の問い合わせ対応が安定し、ミスやクレームが減っていれば、受付責任者候補が業務改善を進めている可能性があります。

送迎ルートの安全不安や遅延が減っていれば、送迎責任者候補が安全運行とサービス設計を両立できている可能性があります。

一方で、管理職候補を任命した部門で離職、残業、クレーム、部門間不満が増えている場合は、本人への支援や役割設計を見直す必要があります。

1on1の成果は、すぐに数字に表れるものばかりではありません。

しかし、育成対象者の行動変化、部門の安定度、部下の定着、教習生満足、改善提案を継続的に見れば、管理職育成の進捗を把握しやすくなります。

管理職育成を経営課題として扱うためには、1on1の実施と成果を見える化することが重要です。

 

18.結論・まとめ

地域の自動車学校業界で管理職育成を推進するには、教習が上手い指導員、経験豊富なベテラン、受付対応が丁寧なスタッフに役職を与えるだけでは不十分です。

管理職には、教習品質を見る力、部下を育てる力、受付・送迎・教習部門をつなぐ力、地域から選ばれる学校づくりを進める力、経営方針を現場に落とし込む力が求められます。

指定自動車教習所は、教習内容や運営に関する標準を踏まえながら、地域の交通安全を支える教育機関として運営されます。管理職には、現場を回すだけでなく、制度や教習品質を理解し、学校全体を安定させる役割が求められます。

また、中小企業庁の2025年版中小企業白書でも、経営者の兼務解消・権限委譲や専門的な人材の確保・育成が、成長の壁を乗り越えるための重要な論点として示されています。地域の自動車学校でも、経営者や校長だけに依存せず、各部門を任せられる管理職を育てることが重要です。

1on1は、管理職候補の悩みを聞くだけの面談ではありません。

経営者や幹部が、管理職候補に期待する役割を伝え、実務を振り返り、判断基準を共有し、部下育成や学校運営の力を育てるための対話です。

校長候補には、学校全体の運営と地域経営をつなぐ力を育てる必要があります。

教習部門責任者には、教習品質と指導員育成を両立する力を育てる必要があります。

受付責任者には、教習生対応と業務改善の力を育てる必要があります。

送迎責任者には、安全運行とサービス設計の力を育てる必要があります。

営業・広報責任者には、地域から選ばれる学校づくりの視点を育てる必要があります。

さらに、管理職候補は経営者と一般社員の間で孤立しやすいため、1on1を通じて定期的に悩みや判断課題を確認することが重要です。

1on1で出た課題は、教習品質改善、受付対応改善、送迎安全管理、若手指導員育成、評価制度、研修計画、権限委譲に反映させる必要があります。

地域の自動車学校が持続的に選ばれるためには、経営者や校長だけに依存せず、各部門の管理職が自ら判断し、人を育てられる組織を作ることが不可欠です。

1on1を継続的に活用することで、管理職候補の視座を高め、学校運営力を強化し、社員が育ち、教習生からも地域からも信頼される自動車学校を作ることができます。

 

19. 参考資料

警察庁|指定自動車教習所の教習の標準

警察庁|警察庁の施策を示す通達(交通局)

警察庁|指定自動車教習所業務指導の標準について(通達)

中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版)

中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版) 第2部 第1章 第4節 人材戦略

中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版) 第2部 第2章 第2節 スケールアップに向けた課題

厚生労働省|人材開発支援助成金

厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース)申請書類

厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース)申請書類(令和8年3月2日~令和8年4月7日)

 

20. 人材採用・募集活性化・1on1・人材定着・離職防止・人的資本経営などに関する無料相談とお問い合わせ

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