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【地域の自動車学校業界向け】1on1で人材定着・離職防止につなげる方法とポイント

2026.06.23

 

 

本コラム記事では、地域の自動車学校の経営者・幹部向けに、1on1を活用して教習指導員、技能検定員、受付事務、送迎担当、管理職の不安や課題を早期に把握し、人材定着・離職防止につなげる方法を解説しています。この機会にぜひご覧ください。

 

1.地域の自動車学校業界で1on1が重要になる理由

地域の自動車学校は、普通自動車免許、二輪免許、準中型・中型免許、高齢者講習、企業向け安全運転教育、地域交通安全教育など、地域の移動と安全を支える重要な役割を担っています。

特に指定自動車教習所は、人的基準、物的基準、運営基準に適合し、公安委員会から指定を受けて運営される施設です。全日本指定自動車教習所協会連合会も、指定自動車教習所について、資格のある指導員・検定員等の配置、運転コースや教室の整備、教習カリキュラム等の運営基準を満たす施設であると説明しています。

このように、自動車学校は単なるサービス業ではなく、地域の交通安全を支える公共性の高い教育事業です。

一方で、地域の自動車学校では、教習指導員、技能検定員、受付事務、送迎担当、営業・広報担当、管理職の確保と定着が大きな課題になりやすいです。

教習指導員は、運転技術を教えるだけでなく、教習生の不安に向き合い、安全意識を育て、時には厳しく指導する必要があります。

受付事務は、入校手続き、配車、予約変更、電話対応、教習生対応、講習案内、書類管理などを担い、学校全体の印象を左右します。

送迎担当は、教習生の安全な移動を支えるだけでなく、地域の道路事情や時間管理にも気を配る必要があります。

こうした職種は、それぞれ負担の種類が異なるため、全員に同じ管理方法を当てはめても定着にはつながりません。

中小企業庁の2025年版中小企業白書では、人材不足の状況下では、採用した人材の定着率を高める取組が重要であることが示されています。地域の自動車学校でも、採用活動だけに力を入れるのではなく、入社後に不安を把握し、育成し、定着につなげる仕組みが必要です。

1on1は、単なる面談や雑談ではありません。

教習指導員、受付事務、送迎担当、管理職が抱える不安、業務負担、人間関係、成長希望、離職につながる小さな違和感を早期に把握するための仕組みです。

地域の自動車学校では、経営者や管理職が「現場のことは分かっている」と思っていても、社員が本音を話せていない場合があります。

1on1を継続的に行うことで、突然の退職を防ぎ、職場改善、教習品質向上、教習生満足度向上につなげることができます。

 

2.1on1は評価面談ではなく定着支援の場として設計する

1on1を導入してもうまく機能しない自動車学校では、面談が評価面談や注意指導の場になっていることがあります。

教習指導員に対して教習生からの評判や検定合格率だけを確認する、受付事務に対してミスやクレームだけを指摘する、送迎担当に対して時間厳守だけを求めるといった運用では、社員は本音を話しにくくなります。

人材定着や離職防止を目的にする場合、1on1は「評価する場」ではなく、「働き続けるうえでの不安や課題を確認する場」として設計する必要があります。

もちろん、教習品質、接遇、予約管理、送迎品質、安全意識を確認することは重要です。

しかし、毎回の1on1が数字確認や注意指導だけになると、社員は上司に対して防御的になり、困りごとを隠すようになります。

たとえば、教習指導員に「最近、教習生からの評価が下がっている理由は何か」と聞くだけでは、本人は言い訳を考えやすくなります。

一方で、

「最近、教習で対応に悩んだ教習生はいますか」

「指導方法で迷っていることはありますか」

「繁忙期の教習スケジュールで負担に感じていることはありますか」

と聞けば、本人の悩みや職場改善のヒントが見えやすくなります。

厚生労働省の「こころの耳」では、働く人や事業者に向けてメンタルヘルス対策や相談窓口に関する情報が整理されています。職場で早めに相談できる体制を整えることは、社員の不調や離職リスクを早期に把握するうえでも重要です。

1on1は、社員を評価するためだけの時間ではなく、社員が安心して働き続けるための対話の時間です。

この前提を経営者、校長、管理者、管理職が共有することが、離職防止につながる1on1の第一歩になります。

 

3.教習指導員の1on1では教習負担と心理的負担を確認する

自動車学校の教習指導員は、学校運営の中心となる人材です。

技能教習、学科教習、教習生への声かけ、運転不安への対応、安全確認、教習記録、検定前の指導など、教習指導員の仕事は専門性と対人対応力の両方が求められます。

警察庁は、指定自動車教習所の教習の標準に関する通知を公表しており、指定自動車教習所の教習は一定の標準や運用に基づいて行われます。教習指導員は、単に運転を教えるだけでなく、定められた教習内容を踏まえながら、教習生の理解度や心理状態に合わせて指導する必要があります。

教習指導員の離職理由は、給与や勤務時間だけで説明できるものではありません。

教習生への対応疲れ、クレームへの不安、繁忙期の連続教習、休憩時間の取りにくさ、指導方法への迷い、検定結果へのプレッシャー、若手指導員への教育負担など、複数の要因が重なって離職につながることがあります。

1on1では、教習指導員に対して、教習コマ数や勤務態度だけを確認するのではなく、本人がどの場面で負担を感じているのかを具体的に聞くことが重要です。

「最近、指導しづらいと感じた教習生はいましたか」「教習中にヒヤリとした場面はありましたか」「学科教習や技能教習で改善したい教材や進め方はありますか」「繁忙期のスケジュールで無理が出ていませんか」といった質問が有効です。

また、教習指導員は、教習生の成長を支える仕事である一方、教習生からの反応に影響を受けやすい仕事でもあります。

教習生が上達したときにはやりがいを感じますが、何度説明しても伝わらない場合や、厳しい指摘に不満を持たれた場合には、心理的な負担を感じることがあります。

1on1では、教習指導員の努力や工夫を言語化し、本人が教習の価値を再確認できるようにすることも重要です。

教習指導員の定着には、教習コマ数の調整だけでなく、指導上の悩みを共有できる職場づくりが欠かせません。

 

4.技能検定員・ベテラン指導員の1on1では責任負担を確認する

自動車学校では、技能検定員やベテラン指導員が、教習品質、検定品質、若手指導員の育成を支えています。

経験豊富な人材は、教習生の運転特性を見極める力や、危険予測、教習計画、検定前指導に強みがあります。

一方で、ベテラン人材には、教習や検定の責任だけでなく、若手指導員の相談対応、クレーム対応、繁忙期の穴埋め、管理職の補佐が集中しやすい傾向があります。

そのため、経営者や管理職が「ベテランだから任せておけば大丈夫」と考えていると、本人の負担が見えにくくなります。

技能検定員やベテラン指導員との1on1では、

「最近、責任が重いと感じる業務はありますか」

「若手指導員への指導で困っていることはありますか」

「検定や教習で判断に迷う場面はありますか」

「会社として支援してほしいことはありますか」

と確認することが重要です。

また、ベテラン指導員は、学校の歴史や地域事情をよく理解している一方で、新しい教習生の価値観やデジタル予約、SNSでの評判などに戸惑うこともあります。

1on1では、ベテラン指導員に対して、一方的に変化への対応を求めるのではなく、本人が持っている経験を尊重しながら、学校として変えていくべき点を一緒に整理することが大切です。

ベテラン人材は、教習品質を支える人的資本です。

ただし、頼りすぎると疲弊や離職につながります。

1on1を通じて、責任の偏り、教育負担、検定業務の負担を把握し、役割と処遇のバランスを見直すことが重要です。

 

5.受付・事務職の1on1では見えにくい負担を把握する

自動車学校の受付・事務職は、教習生や保護者にとって最初の接点になる重要な職種です。

入校案内、教習予約、配車、キャンセル対応、電話対応、窓口対応、講習案内、高齢者講習の問い合わせ、教習料金の説明、書類管理、指導員との連絡調整など、幅広い業務を担います。

一方で、受付・事務職の負担は、教習指導員に比べて見えにくい場合があります。

繁忙期には、入校希望者の問い合わせ、在校生の予約変更、保護者からの確認、指導員への連絡、送迎バスの問い合わせが同時に発生し、強いストレスを感じることがあります。

受付・事務職との1on1では、「電話や窓口対応が集中する時間帯はありますか」「教習生や保護者からの問い合わせで困っていることはありますか」「予約管理や配車でミスが起きやすい場面はありますか」「指導員や送迎担当との連携で改善したい点はありますか」と確認することが重要です。

受付・事務職の離職理由には、「忙しさが評価されにくい」「教習生と指導員の間で板挟みになる」「電話対応が精神的に負担になる」「ミスを責められるが仕組みが改善されない」といったものがあります。

1on1では、本人の不満を聞くだけでなく、予約システム、電話対応ルール、キャンセル対応、教習生への案内資料、指導員との連絡方法を見直すきっかけにする必要があります。

受付・事務職が安心して働ける状態は、学校全体の印象を高めます。

地域の自動車学校では、受付対応の印象が入校希望者や保護者の安心感に直結するため、受付・事務職の定着支援は経営上も重要です。

 

6.送迎担当の1on1では安全運行と孤立感を確認する

地域の自動車学校では、送迎バスや送迎車両が重要な役割を果たします。

特に公共交通が限られる地域では、送迎体制が入校しやすさに直結します。

送迎担当は、教習生を安全に送迎するだけでなく、時間管理、乗車確認、地域道路の状況把握、悪天候時の判断、車両点検、教習生への声かけも担います。

一方で、送迎担当は教習指導員や受付事務と比べて、勤務中に一人で動く時間が長く、職場内での情報共有や相談機会が少なくなりがちです。

そのため、1on1では、送迎担当の安全運行上の不安や孤立感を確認することが重要です。

「危ないと感じる送迎ルートはありますか」

「時間に余裕がない便はありますか」

「乗車場所や降車場所で困っていることはありますか」

「教習生対応で気になることはありますか」

「車両状態で改善してほしい点はありますか」

と聞くことで、事故予防や業務改善につながります。

送迎担当からの声は、学校全体のサービス品質改善にも役立ちます。

たとえば、送迎ルートが複雑すぎる、時間設定に無理がある、教習生への案内が不足している、受付との情報連携が遅いといった課題は、送迎担当が最もよく把握している場合があります。

1on1で送迎担当の声を拾い、ルート見直し、予約管理、乗車案内、車両点検ルールに反映することで、本人の定着だけでなく、教習生の満足度向上にもつながります。

送迎担当を単なる運転業務として見るのではなく、地域の教習生を支える重要な接点として位置づけることが大切です。

 

7.新人社員の1on1は入社直後から計画的に行う

自動車学校では、未経験で受付事務、送迎担当、教習指導員候補として入社する人もいます。

特に教習指導員を目指す場合、教習所の業務理解、法令・制度、教習内容、教習生対応、指導方法、資格取得に向けた学習など、覚えることが多くあります。

未経験者にとって、自動車学校の仕事は外から見えている以上に専門性が高い仕事です。

そのため、新人社員への1on1は、問題が起きてから行うのではなく、入社直後から計画的に行う必要があります。

入社1週間後には、学校の雰囲気に慣れているか、質問しやすい相手がいるか、基本的な業務の流れを理解できているかを確認します。

入社1か月後には、覚えた業務、まだ不安な業務、教習生対応への不安、指導員や受付との連携で困っていることを確認します。

入社3か月後には、今後身につけたい業務、資格取得への意欲、学校で働き続けるうえで気になること、会社に期待する支援を確認します。

中小企業庁の2025年版中小企業白書では、人材が不足している事業者では、直近3年間で採用した従業員の定着率が低い傾向が示されています。新人を採用して終わりにせず、入社後に育成と対話を継続することが重要です。

新人社員は、退職を考えていても、すぐに本音を話すとは限りません。

「忙しそうで聞きづらい」

「自分だけが分かっていないのではないか」

「教習生対応が怖い」

と感じても、周囲に相談できない場合があります。

1on1を定期的に行えば、新人が困りごとを話しやすくなり、早期離職を防ぎやすくなります。

 

8.若手指導員・指導員候補の1on1では成長不安を拾う

地域の自動車学校にとって、若手指導員や指導員候補の育成は将来の学校運営を左右します。

教習指導員は、資格取得、教習技術、学科指導、技能指導、教習生対応、安全確認など、多面的な成長が必要です。

しかし、若手指導員や指導員候補は、先輩指導員と自分を比較し、自信を失うことがあります。

教習生への説明がうまく伝わらない、技能教習で緊張する、クレームが怖い、学科教習の準備に時間がかかる、資格取得に不安があるといった悩みは、早めに聞き取る必要があります。

1on1では、

「最近、教習でうまくいったことは何ですか」

「逆に難しいと感じた場面はありますか」

「先輩に見てもらいたい教習場面はありますか」

「資格取得や検定に向けて不安なことはありますか」

と確認します。

若手指導員に対しては、できていない点だけを指摘するのではなく、成長している点を言語化することが重要です。

「説明の順番が整理されてきた」

「教習生への声かけが増えている」

「危険予測の説明が具体的になっている」

といった小さな成長を伝えることで、本人の自信につながります。

若手指導員は、教習生の反応に一喜一憂しやすい時期です。

1on1で定期的に振り返り、指導方法を一緒に整理することで、不安を抱え込まずに成長しやすくなります。

若手指導員の定着には、資格取得支援だけでなく、教習者としての自信を育てる対話が必要です。

 

9.中堅社員の1on1では役割負担と成長停滞を見逃さない

自動車学校では、入社後数年が経過した中堅社員が現場運営の中心を担います。

教習指導員であれば、通常教習だけでなく、若手指導員の相談対応、教習生への個別対応、繁忙期の追加対応を任されることがあります。

受付事務であれば、複雑な予約調整や保護者対応を任され、送迎担当であれば新しいルートや新人送迎担当の指導を任されることがあります。

しかし、中堅社員は仕事ができるため、上司から見ると「任せておけば大丈夫」と思われやすい存在です。

実際には、責任だけが増えて評価が追いついていない、後輩指導の負担が大きい、同じ業務の繰り返しで成長実感がない、将来のキャリアが見えないといった不満を抱えている場合があります。

中堅社員の離職は、自動車学校にとって大きな痛手です。

教習品質、受付対応、送迎運営、地域の教習生対応、学校内の段取りを理解している人材が抜けることで、残る社員の負担も増えます。

中堅社員との1on1では、

「今の役割で負担が大きいことは何か」

「後輩指導で困っていることはあるか」

「今後挑戦したい業務はあるか」

「会社に評価してほしい行動は何か」

「将来どのような役割を目指したいか」

を確認します。

また、中堅社員は管理職候補でもあります。

教習部門のリーダー、受付責任者、送迎管理者、営業・広報担当、管理者候補として育てる可能性がある社員には、本人の希望と会社の期待をすり合わせることが重要です。

中堅社員の定着には、目の前の不満解消だけでなく、今後の成長機会を示すことが欠かせません。

 

10.管理職向け1on1で現場運営の孤立を防ぐ

1on1は、一般社員や若手社員だけに行うものではありません。

地域の自動車学校では、校長、教習部門責任者、受付責任者、送迎責任者、営業・広報責任者にも1on1が必要です。

管理職は、経営者から稼働率や入校者数、教習品質を求められる一方で、部下からは人間関係や業務負担の相談を受け、教習生や保護者からは問い合わせやクレームを受ける立場です。

特に地域の自動車学校では、繁忙期と閑散期の差、少子化による入校者確保、高齢者講習対応、送迎体制、指導員の採用・育成など、管理職が対応すべき課題が多くあります。

管理職が疲弊すると、部下への対応が雑になり、職場の雰囲気が悪化し、結果として離職が増える可能性があります。

経営者や幹部は、管理職との1on1で、

「部下育成で困っていることは何か」

「教習指導員の配置で課題はないか」

「受付や送迎との連携で改善したいことは何か」

「経営側に判断してほしいことは何か」

「本人の負担が過度に増えていないか」

を確認する必要があります。

管理職が相談できる相手を持てば、学校内の問題を早期に共有しやすくなります。

また、管理職が落ち着いて部下と向き合える状態になれば、一般社員の定着率も高まりやすくなります。

管理職向け1on1は、管理職を監視するための面談ではありません。

学校運営を任せる人材を孤立させず、経営と現場をつなぐ力を高めるための仕組みです。

 

11.1on1で聞くべきテーマを職種ごとに整理する

1on1を始めても、毎回の会話が雑談だけで終わってしまうと、離職防止や職場改善にはつながりにくくなります。

一方で、細かい質問票を作りすぎると、社員は形式的な面談だと感じてしまいます。

自動車学校で1on1を行う際は、職種ごとに聞くべきテーマを大まかに整理し、社員の状況に合わせて柔軟に話すことが重要です。

教習指導員であれば、教習生対応、教習コマ数、指導方法、学科教習、技能教習、安全面、クレーム不安、若手指導員の育成を確認します。

技能検定員やベテラン指導員であれば、検定業務、若手育成、責任負担、判断に迷う場面、学校全体の教習品質を確認します。

受付・事務職であれば、電話対応、窓口対応、予約管理、配車、書類管理、保護者対応、指導員との連携を確認します。

送迎担当であれば、安全運行、送迎ルート、時間管理、車両状態、教習生対応、受付との情報連携を確認します。

管理職であれば、部下育成、教習品質、稼働率、入校者数、繁忙期対応、経営方針の浸透、本人の負担を確認します。

1on1は、全員に同じ質問をする制度ではありません。

職種ごとの課題を拾い、学校全体の改善につなげるための対話です。

質問テーマを整理しておくことで、上司も話を進めやすくなり、社員も自分の仕事に関係する話をしやすくなります。

 

12.1on1で出た声を学校運営の改善につなげる

1on1を実施しても、社員の声が改善につながらなければ、制度への信頼は下がります。

社員は、「話しても何も変わらない」と感じると、次回以降の1on1で本音を話さなくなります。

地域の自動車学校では、1on1で出てくる声の多くが、学校運営改善のヒントになります。

たとえば、教習指導員から「繁忙期の教習コマが詰まりすぎている」という声が出た場合、教習スケジュールや休憩時間の取り方を見直す必要があります。

受付事務から「キャンセルや予約変更の電話が集中している」という声が出た場合、予約ルールや案内資料を見直す必要があります。

送迎担当から「特定ルートの時間に無理がある」という声が出た場合、ルート設計や教習生への集合時間案内を改善する必要があります。

若手指導員から「教習方法を相談できる時間がない」という声が出た場合、先輩指導員との振り返り時間や教習レビューの仕組みを作る必要があります。

ただし、すべての要望にすぐ応えることはできません。

その場合でも、

「すぐに対応すること」

「検討すること」

「対応が難しい理由」

を明確に伝えることが大切です。

1on1は、不満を聞くだけの場ではなく、現場の課題を経営改善につなげる仕組みです。

声を聞き、判断し、改善し、結果を伝える流れを作ることで、社員の納得感は高まりやすくなります。

 

13.教習品質と社員定着を分けて考えない

自動車学校では、教習品質の向上と社員定着を分けて考えないことが重要です。

教習指導員が疲弊していれば、教習生への説明が雑になり、教習生の不安が増えます。

受付事務が疲弊していれば、窓口対応や電話対応の印象が悪くなり、入校希望者や保護者の不満につながります。

送迎担当が無理なスケジュールで動いていれば、安全運行や時間管理に影響します。

つまり、社員が安心して働ける状態は、教習生満足度や地域からの評判に直結します。

1on1では、社員の不安や負担を聞くことが、教習品質の改善にもつながります。

教習指導員が「教習生に説明しても伝わりにくい」と感じている場合、個人の指導力だけでなく、教材、教習の進め方、教習生への事前説明を見直す必要があります。

受付事務が「問い合わせ対応で同じ説明を繰り返している」と感じている場合、案内資料やWebサイトの情報を改善することで、教習生の不安も減らせます。

送迎担当が「乗車場所が分かりにくい」と感じている場合、教習生向け案内を改善することで、送迎トラブルを減らせます。

社員定着と教習品質は、同じ職場改善の延長線上にあります。

1on1で社員の声を拾い、教習生の体験改善にもつなげることで、学校全体の競争力を高めることができます。

 

14.1on1を人材育成やキャリア形成と連動させる

1on1を離職防止につなげるには、目の前の不満を聞くだけでなく、社員の成長やキャリア形成にもつなげる必要があります。

自動車学校には、教習指導員、技能検定員、学科教習担当、管理者候補、受付責任者、営業・広報担当、送迎管理者など、さまざまな成長ルートがあります。

しかし、社員自身が将来像を描けていなければ、仕事が単調に感じられ、他業種への転職を考える可能性があります。

1on1では、

「今後どの業務を覚えたいか」

「どの分野に強みを持ちたいか」

「資格取得に挑戦したいか」

「管理職を目指したいか」

「専門職として教習品質を高めたいか」

を確認することが重要です。

若手指導員であれば、技能教習だけでなく、学科教習、検定員、若手教育、企業向け安全運転教育などへの成長ルートを示すことができます。

受付事務であれば、予約管理、入校促進、広報、教習生フォロー、事務責任者への成長ルートを示すことができます。

送迎担当であれば、安全運行だけでなく、送迎ルート管理、車両管理、地域対応、教習生サービス改善への関与を示すことができます。

1on1で本人の希望を把握し、研修や実務機会につなげることで、社員は学校の中で成長するイメージを持ちやすくなります。

離職防止には、働きやすさだけでなく、成長できる実感も必要です。

 

15.1on1を属人的な面談にせず学校の仕組みにする

1on1は、上司の人柄や経験だけに頼ると、部署や管理職によって品質がばらつきます。

ある管理職は丁寧に話を聞いていても、別の管理職は業務確認だけで終わってしまう場合、社員の受け止め方に差が出ます。

地域の自動車学校では、管理職自身が教習、受付、送迎、営業、管理業務を兼務していることも多いため、1on1が後回しになることがあります。

そのため、学校として、誰に、どの頻度で、どの目的で1on1を行うのかを決める必要があります。

たとえば、新人社員は入社1週間、1か月、3か月、6か月に実施します。

若手指導員や指導員候補は月1回、中堅社員やベテラン指導員は2〜3か月に1回、受付・送迎担当は四半期に1回、管理職は経営者や幹部が定期的に行うなど、対象ごとに頻度を分けることができます。

また、1on1の内容をすべて詳細に記録する必要はありませんが、離職リスク、業務改善要望、安全面の不安、教習品質上の課題、育成希望、健康面の不安など、学校として把握すべき内容は記録しておくべきです。

個人情報やデリケートな内容には十分配慮しながら、組織改善に必要な情報を蓄積することが重要です。

1on1を管理職の善意に任せるのではなく、学校の人材定着施策として位置づけることで、継続しやすくなります。

 

16.経営者・幹部が確認すべき1on1の指標

1on1を人材定着・離職防止につなげるには、実施状況と効果を数字でも確認することが重要です。

経営者・幹部は、「1on1をやっているかどうか」だけでなく、「1on1によって離職リスクや学校運営課題を把握できているか」を確認する必要があります。

確認すべき指標としては、1on1実施率、対象者別実施状況、入社1年未満社員の実施率、面談後の改善対応件数、離職率、早期離職率、欠勤率、残業時間、職種別の不満傾向、改善提案件数などがあります。

教習指導員については、教習コマ数、残業時間、教習生対応の悩み、若手育成負担、クレーム件数を確認します。

受付・事務職については、電話対応負担、予約変更対応、書類ミス、繁忙時間帯、指導員との連携課題を確認します。

送迎担当については、安全面の不安、送迎ルートの無理、車両状態、教習生対応、受付との情報連携を確認します。

管理職については、部下の定着率、1on1実施状況、学校運営改善件数、本人の負担状況を確認します。

たとえば、新人向け1on1を実施しているにもかかわらず早期離職が減らない場合は、面談内容や改善対応に課題がある可能性があります。

教習指導員から心理的負担に関する声が多い場合は、教習コマ数、教習生対応、クレーム共有、指導方法の支援を見直す必要があります。

受付事務から業務集中の声が多い場合は、予約管理、電話対応、案内資料、システム運用を見直す必要があります。

1on1の成果は、すぐに数字に表れるものばかりではありません。

しかし、社員の声を継続的に集め、改善対応を積み重ねることで、離職率、残業時間、クレーム、教習生満足度、職場の雰囲気に変化が出てきます。

 

17.結論・まとめ

地域の自動車学校業界で人材定着・離職防止を進めるには、給与や待遇の改善だけではなく、社員の不安や業務負担を早期に把握する仕組みが必要です。

自動車学校では、教習指導員、技能検定員、受付事務、送迎担当、管理職が密接に連携して学校を運営しています。

どこか一つの職種に負担が偏ると、教習品質の低下、受付対応の不満、送迎トラブル、職場の雰囲気悪化、離職につながりやすくなります。

1on1は、社員の悩みを聞くだけの制度ではありません。

教習指導員の教習負担、技能検定員やベテラン指導員の責任負担、受付事務の見えにくい業務量、送迎担当の安全不安、若手指導員の成長不安、管理職の孤立を早期に把握するための経営施策です。

中小企業庁の2025年版中小企業白書でも、人材不足の状況下では、採用した人材の定着率を高める取組が重要であることが示されています。地域の自動車学校でも、採用だけでなく、入社後の定着と育成に力を入れることが必要です。

1on1を成功させるには、評価面談のように運用するのではなく、社員が安心して本音を話せる場にする必要があります。

また、1on1で出た声を聞くだけで終わらせず、教習スケジュール、受付対応、送迎ルート、若手育成、管理職支援、教習品質改善につなげることが重要です。

地域の自動車学校が1on1を継続的に運用できれば、離職リスクを早期に把握し、現場の小さな不満を改善し、社員が長く働きやすい学校を作りやすくなります。

人材不足が続く時代において、1on1は単なる面談制度ではなく、社員を定着させ、教習品質を高め、地域から選ばれる自動車学校を作るための経営施策です。

 

18. 参考資料

警察庁|警察庁の施策を示す通達(交通局)

警察庁|指定自動車教習所の教習の標準について(通達)

警察庁|指定自動車教習所業務指導の標準について(通達)

警察庁|第3項 きめ細かな運転者施策による安全運転の確保

中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版)

中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版) 第2部 第1章 第4節 人材戦略

中小企業庁|中小企業・小規模事業者の人材に関する現状と課題

厚生労働省|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

厚生労働省|メンタルヘルスに関する社内相談窓口設置のポイント

厚生労働省|こころの耳の相談窓口

 

19. 人材採用・募集活性化・1on1・人材定着・離職防止・人的資本経営などに関する無料相談とお問い合わせ

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