【産業廃棄物業界向け】1on1で管理職育成を推進する方法とポイント
2026.06.16
本コラム記事では、産業廃棄物業界の経営者・幹部向けに、1on1を活用して現場責任者、配車担当、工場長、営業管理職を育成し、安全管理・人材定着・組織成長につなげる方法を解説しています。この機会にぜひご覧ください。
1.産業廃棄物業界で管理職育成が重要になる理由
産業廃棄物業界では、収集運搬、選別、中間処理、リサイクル、最終処分、営業、配車、事務管理など、多くの業務が連動して事業が成り立っています。
現場には、車両、重機、破砕機、選別ライン、重量物、危険物、屋外作業、顧客先での対応などが関わるため、管理職の判断力や現場統率力が安全・品質・収益に大きく影響します。
環境省の調査では、産業廃棄物処理業において人手不足が深刻な問題となっており、障害者、外国人、女性、高齢者など多様な人材の確保が人手不足解消の方向性として示されています。
人材不足が続く中では、現場社員を採用するだけではなく、採用した人材を育て、定着させ、現場を任せられる管理職へ育成することが重要です。
特に中小規模の産業廃棄物会社では、経営者が現場管理、配車、営業、顧客対応、人材育成まで抱えているケースも少なくありません。
その状態が続くと、経営者が現場から離れられず、新規営業、設備投資、人材採用、単価改善、組織づくりに時間を使いにくくなります。
そのため、現場責任者、配車担当、工場長、営業責任者、教育担当者を計画的に育成し、経営者だけに依存しない組織を作ることが必要です。
1on1は、管理職候補の悩みや課題を聞くだけの面談ではありません。
管理職に必要な視点、判断基準、部下育成、安全管理、顧客対応、収益意識を育てるための対話の仕組みです。
産業廃棄物業界で1on1を活用する場合は、単なるメンタルケアではなく、現場を任せられる管理職を育てる経営施策として設計することが重要です。
2.管理職候補は「作業ができる人」だけで選ばない
産業廃棄物業界では、現場作業に詳しい人、運転が上手い人、重機操作ができる人、顧客対応に慣れている人が管理職候補になりやすい傾向があります。
もちろん、現場経験は管理職にとって重要な土台です。
しかし、現場作業が優秀な人が、そのまま良い管理職になるとは限りません。
管理職には、作業能力だけでなく、人を育てる力、現場全体を見る力、危険を予測する力、トラブルを早期に報告する力、顧客と調整する力、会社の方針を部下に伝える力が求められます。
たとえば、選別作業が速い社員でも、後輩に教えるのが苦手であれば、現場責任者としては課題が残ります。
ドライバーとして優秀な社員でも、配車や顧客調整で感情的になりやすければ、管理職としての育成が必要です。
工場長候補であれば、現場の安全と処理効率だけでなく、設備保全、原価意識、人員配置、改善提案まで見る必要があります。
1on1では、管理職候補に対して「今できている作業」だけでなく、「これから任せたい役割」と「不足している力」を具体的に伝えることが重要です。
「あなたは現場経験があるから責任者をやってほしい」と伝えるだけでは、本人は何を変えればよいのか分かりません。
「今後は新人への声かけ、作業前の危険確認、日報の精度、顧客への報告まで任せたい」と具体化することで、管理職候補は成長課題を理解しやすくなります。
管理職育成の1on1では、本人の強みを認めたうえで、次の役割に必要な行動を一緒に整理することが大切です。
3.1on1では管理職に必要な視点を段階的に育てる
管理職候補を育てる際に、いきなり「現場全体を見なさい」「部下を育てなさい」と伝えても、本人は何をすればよいか分からないことがあります。
特に産業廃棄物業界の現場では、日々の作業、車両手配、搬入対応、処理量の管理、顧客対応、安全確認に追われやすく、管理職候補が自分の仕事だけで精一杯になることもあります。
そのため、1on1では管理職に必要な視点を段階的に育てることが重要です。
最初の段階では、自分の作業を安定して行い、報告連絡相談を確実にすることを確認します。
次の段階では、後輩や新人の動きに気づき、困っている人に声をかけることを目標にします。
さらに次の段階では、現場全体の安全、作業効率、人員配置、顧客対応、改善提案まで視野を広げます。
このように段階を分けることで、管理職候補は自分の成長ステップを理解しやすくなります。
1on1では、「最近、周囲の動きを見て気づいたことはありますか」「新人が困っていそうな場面はありましたか」「現場全体で改善した方がよい作業はありますか」といった質問が有効です。
こうした問いかけを続けることで、本人の視点は「自分の作業」から「チームの状態」へ広がっていきます。
管理職育成では、役職を与えてから育てるのではなく、役職を与える前から管理職視点を育てることが重要です。
1on1は、そのための継続的な対話の場になります。
4.現場責任者向け1on1では安全管理力を高める
産業廃棄物業界の管理職育成で最も重要なテーマの一つが安全管理です。
収集運搬、選別、破砕、重機作業、荷下ろし、構内移動など、産業廃棄物処理の現場にはさまざまなリスクがあります。
厚生労働省の安全衛生情報センターでは、産業廃棄物処理業におけるリスクアセスメントのすすめ方が示されており、事業場に合わせてリスクを見積もり、日常の安全衛生活動に活用する考え方が整理されています。
また、産業廃棄物処理リサイクルセンターの選別作業場で、ショベルローダーの作業エリアと作業者の通路が区別されておらず、誘導者も配置されていなかったために死亡災害が発生した事例も示されています。
このような災害事例からも分かるように、現場責任者には、作業を進める力だけでなく、危険を予測し、作業環境を整え、部下に安全行動を徹底させる力が求められます。
1on1では、現場責任者候補に対して、安全に関する具体的な問いかけを行うことが重要です。
「最近、ヒヤリとした場面はありましたか」「新人が危険を理解しにくい作業はありますか」「重機と作業員の動線で改善すべき点はありますか」「保護具や作業手順で守られていないことはありますか」と聞くことで、現場の安全感度を高められます。
また、現場責任者が安全上の意見を出した場合は、経営者や幹部が真剣に受け止めることが重要です。
現場からの声が放置されると、管理職候補は「言っても変わらない」と感じ、安全に対する主体性を失いやすくなります。
反対に、1on1で出た安全上の提案が改善につながれば、現場責任者は「自分が現場を良くしている」という実感を持ちやすくなります。
管理職育成における1on1は、安全意識を高めるだけでなく、安全文化を現場に根付かせる機会でもあります。
5.配車担当・運行管理者候補には調整力を育てる
産業廃棄物会社では、配車担当や運行管理に近い役割を担う人材の育成も重要です。
収集運搬では、顧客ごとの回収時間、品目、車両、ドライバー、ルート、処理場の受け入れ状況、交通事情、緊急依頼などを踏まえて、日々の配車を組む必要があります。
配車担当の判断が悪いと、ドライバーの負担が増え、顧客対応が遅れ、処理場側の段取りにも影響が出ます。
また、特定のドライバーに負担が偏ると、不満や離職につながる可能性があります。
そのため、配車担当候補への1on1では、単に配車表を作れるかどうかではなく、調整力、説明力、公平性、先読み力を育てることが重要です。
「なぜその車両とドライバーを組み合わせたのか」「そのルートで無理が出る可能性はないか」「顧客の要望とドライバーの負担をどう調整したか」「急な欠勤が出た場合に代替案はあるか」といった問いかけが有効です。
配車担当は、現場と顧客の間で板挟みになりやすい役割です。
だからこそ、1on1では本人のストレスや困りごとも確認する必要があります。
「顧客からの急な依頼で困っていることはないか」「ドライバーに説明しづらい配車はないか」「経営側に判断してほしいことはないか」と聞くことで、配車担当が一人で抱え込む状態を防げます。
配車担当が育つと、経営者や幹部の現場負担が軽くなり、収集運搬の生産性や顧客対応品質も高まりやすくなります。
6.工場長・処理場責任者には数字と現場をつなぐ力を育てる
産業廃棄物会社の工場長や処理場責任者には、現場作業だけでなく、処理量、設備稼働、人員配置、原価、安全、品質、顧客対応を総合的に見る力が求められます。
処理場では、搬入量、選別効率、リサイクル率、残渣量、機械停止時間、人員配置、外注費、燃料費、修繕費など、多くの数字が現場運営に関係します。
しかし、現場出身の責任者候補は、日々の作業には詳しくても、数字を見ながら改善する経験が少ない場合があります。
1on1では、工場長候補に対して、現場で起きていることと経営数字をつなげて考える習慣を育てることが重要です。
たとえば、「今月、処理量が増えたのに利益が伸びていない理由は何だと思うか」「残渣が増えている原因はどこにあるか」「設備停止が多い時間帯はあるか」「人員配置を変えれば効率が上がる作業はあるか」といった問いかけが有効です。
このような対話を続けることで、工場長候補は、現場を回すだけでなく、現場を改善する視点を持てるようになります。
また、数字を責めるために使うのではなく、改善の材料として使うことが大切です。
「なぜできないのか」と詰める1on1では、管理職候補は数字を隠したり、言い訳を考えたりしやすくなります。
「どこを改善すればよくなるか」「会社として何を支援すればよいか」と一緒に考えることで、管理職候補の主体性が育ちます。
産業廃棄物業界の管理職には、現場感覚と数字感覚の両方が必要です。
1on1は、その二つを結びつける育成機会になります。
7.営業管理職には現場理解と単価改善の視点を育てる
産業廃棄物業界の営業管理職には、顧客開拓力だけでなく、現場理解、適正単価の設計、処理コストの把握、契約条件の調整、現場負担の確認が求められます。
産業廃棄物の営業では、安く受注すれば案件は取りやすいかもしれません。
しかし、処理コスト、運搬距離、分別状態、搬入頻度、積み込み条件、顧客先での待機時間を十分に見ないまま受注すると、現場負担が増え、利益も残りにくくなります。
営業管理職向けの1on1では、売上だけでなく、粗利、現場負担、契約条件、顧客対応の質を確認することが重要です。
「その案件は現場に無理がないか」「運搬距離や待機時間は価格に反映されているか」「分別状態が悪い顧客に改善提案できているか」「値上げ交渉が必要な顧客はどこか」といった問いかけが有効です。
また、営業担当が現場の実情を理解していないと、現場社員との関係が悪くなることがあります。
現場から見ると、「営業が無理な条件で取ってきた」と感じる案件は、作業者の不満や離職要因にもなります。
そのため、営業管理職には、顧客満足と現場負担の両方を見ながら受注判断する力が必要です。
1on1では、営業管理職に対して、短期売上だけでなく、長期的な顧客関係、現場品質、利益率を考える視点を育てることが重要です。
営業管理職が育つと、価格競争から抜け出し、現場に無理のない受注体制を作りやすくなります。
8.1on1で部下育成の悩みを引き出す
管理職候補がつまずきやすいテーマの一つが、部下育成です。
産業廃棄物業界では、職人気質の社員、未経験者、若手、ベテラン、外国人材、短時間勤務者など、多様な人材が同じ現場で働くことがあります。
そのため、管理職には、相手に合わせて教え方を変える力が求められます。
しかし、現場経験の長い管理職候補ほど、「自分は見て覚えた」「昔は言われなくてもやった」という感覚を持っている場合があります。
そのまま部下に接すると、新人や若手が質問しにくくなり、早期離職につながることがあります。
1on1では、管理職候補に対して、部下育成の悩みを具体的に聞くことが重要です。
「教えにくいと感じる部下はいますか」「新人がつまずきやすい作業は何ですか」「注意した後に相手の行動は変わっていますか」「自分の伝え方で改善できる点はありますか」と問いかけることで、本人の育成課題が見えやすくなります。
また、管理職候補が部下への不満を話した場合も、すぐに否定せず、事実と解釈を分けて整理することが大切です。
「何が起きたのか」「本人にどう伝えたのか」「相手はどう受け取ったのか」「次にどう伝えるとよいか」を一緒に考えることで、管理職候補の指導力は高まります。
部下育成は、管理職が一人で身につけるものではありません。
経営者や幹部が1on1を通じて、管理職候補の教え方、伝え方、任せ方を育てることが重要です。
9.管理職候補の孤立を防ぐ
管理職や現場責任者は、一般社員と経営層の間に立つため、孤立しやすい立場です。
部下からは不満を聞き、経営層からは成果を求められ、顧客からは対応を求められるため、精神的な負担が大きくなりやすいです。
特に産業廃棄物業界では、事故防止、クレーム対応、欠員対応、車両トラブル、設備停止、急な回収依頼など、管理職が対応すべき問題が日々発生します。
その状態で相談相手がいないと、管理職候補は疲弊し、部下への接し方が荒くなったり、突然退職を考えたりする可能性があります。
1on1は、管理職候補の孤立を防ぐためにも重要です。
経営者や幹部は、「最近、抱え込んでいることはないか」「自分だけでは判断しづらい案件はないか」「部下との関係で悩んでいることはないか」「会社に支援してほしいことはないか」と定期的に確認する必要があります。
管理職候補が安心して相談できる状態を作ることで、現場の問題を早期に把握できます。
また、管理職候補が経営層に相談できる関係があれば、部下に対しても安定した対応をしやすくなります。
管理職育成では、本人に責任を持たせることも必要ですが、責任を持たせた後に放置しないことが重要です。
1on1は、管理職候補に任せる範囲を広げながら、必要な支援を行うための仕組みです。
10.1on1で経営方針を現場に落とし込む
管理職は、経営方針を現場に伝える役割を担います。
しかし、経営者が方針を発信しても、管理職が十分に理解していなければ、現場には正しく伝わりません。
産業廃棄物会社では、安全第一、適正処理、顧客対応、分別品質、リサイクル率向上、単価改善、採用強化、教育強化など、経営上の方針が多くあります。
これらを現場社員に伝えるには、管理職自身が「なぜそれが必要なのか」を理解している必要があります。
1on1では、経営者や幹部が管理職候補に対して、会社の方針を一方的に伝えるだけでなく、本人がどう理解しているかを確認することが重要です。
「今期、会社として何を一番重視していると思うか」「現場に伝えるとしたら、どのように説明するか」「方針を進めるうえで現場が抵抗しそうな点はどこか」と聞くことで、方針理解の深さを確認できます。
また、管理職候補から現場の反応を聞くことも大切です。
経営方針が現場実態と合っていない場合、管理職候補は現場との板挟みになります。
1on1で現場の声を聞き、必要に応じて方針の伝え方や進め方を修正することで、経営と現場の距離を縮められます。
管理職育成における1on1は、経営方針を現場に浸透させるための重要な接点です。
11.管理職候補に任せる範囲を少しずつ広げる
管理職育成では、研修や面談だけでなく、実際に任せる経験が必要です。
ただし、いきなり現場全体や部下管理を任せると、本人が負担を感じ、失敗したときに自信を失う可能性があります。
そのため、1on1では、管理職候補に任せる範囲を段階的に設計することが重要です。
最初は、朝礼での安全確認、新人への作業説明、日報確認、簡単な改善提案など、小さな役割から始めます。
次に、小規模チームの段取り、特定ラインの管理、特定車両やルートの調整、顧客先での簡単な報告を任せます。
さらに、複数名の人員配置、顧客対応、クレーム初期対応、改善会議の進行、部下の育成計画まで任せていきます。
1on1では、任せた役割について振り返る時間を作ります。
「やってみて難しかったことは何か」「次回はどこを改善したいか」「部下の反応はどうだったか」「会社からどのような支援があるとよいか」を確認することで、経験が学びに変わります。
管理職候補は、任されることで成長します。
しかし、任せっぱなしではなく、1on1で振り返り、次の課題を明確にすることで、管理職としての成長速度が高まります。
12.管理職育成を評価制度と連動させる
1on1で管理職育成を進める場合、評価制度との連動も重要です。
管理職候補に部下育成、安全確認、現場改善、顧客対応を任せても、それが評価や処遇に反映されなければ、本人の納得感は高まりません。
特に産業廃棄物業界では、作業量や運搬件数などの成果が分かりやすい一方で、部下への声かけ、安全意識の向上、改善提案、離職防止といった管理職としての貢献が見えにくいことがあります。
そのため、管理職育成では、評価項目を明確にする必要があります。
評価項目には、安全確認の実施、ヒヤリハット共有、部下育成、新人定着、現場改善提案、顧客対応、日報精度、チーム内コミュニケーション、原価意識などを入れることが考えられます。
1on1では、これらの評価項目について、本人がどの程度できているか、次に何を伸ばすべきかを確認します。
評価面談と1on1を完全に同じにする必要はありませんが、1on1で話している成長課題が評価制度とつながっていることは重要です。
管理職候補が「何を頑張れば評価されるのか」を理解できれば、行動は変わりやすくなります。
管理職育成を属人的な期待で終わらせず、評価制度と連動させることで、組織全体として管理職が育ちやすくなります。
13.人材開発支援制度も視野に入れて育成を設計する
管理職育成は、現場での経験と1on1だけで完結するものではありません。
必要に応じて、外部研修、社内研修、安全衛生教育、マネジメント研修、リーダー研修、資格取得支援を組み合わせることが有効です。
厚生労働省の人材開発支援助成金では、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどが紹介されており、事業主が雇用する労働者に職務関連の知識・技能を習得させる訓練を行う際に活用できる制度が示されています。
産業廃棄物会社では、管理職候補に対して、安全衛生、リスクアセスメント、部下育成、労務管理、原価管理、顧客対応、法令遵守などを体系的に学ばせることが重要です。
ただし、研修を受けさせるだけでは、現場での行動は変わりません。
1on1では、研修で学んだことを現場でどう活かすかを確認する必要があります。
「研修で印象に残ったことは何か」「自分の現場で使えそうな考え方は何か」「来月までに実践することは何か」と聞くことで、学びを行動につなげられます。
管理職育成では、研修、現場経験、1on1を組み合わせることが重要です。
研修で知識を得て、現場で実践し、1on1で振り返る流れを作ることで、管理職候補は着実に成長しやすくなります。
14.1on1を経営者だけで抱えず、幹部・管理職にも広げる
中小規模の産業廃棄物会社では、経営者がすべての管理職候補と1on1を行うこともあります。
初期段階では、経営者が直接対話することで、会社の方針や期待を伝えやすくなります。
しかし、組織が拡大してくると、経営者だけですべての1on1を続けることは難しくなります。
そのため、1on1を幹部や既存管理職にも広げ、組織として管理職育成を進める仕組みにする必要があります。
ただし、1on1を任せる側の管理職自身が、部下の話を聞く力や育成する力を持っていなければ、面談が単なる指導や注意の場になってしまいます。
そのため、まずは1on1を実施する管理職に対して、面談の目的、質問の仕方、聞き方、記録方法、改善につなげる方法を教える必要があります。
管理職同士で1on1の内容を共有する場合は、個人のプライバシーに配慮しながら、職場改善に必要な情報だけを整理することも重要です。
1on1を会社の文化として根付かせるには、経営者が最初に見本を示し、その後に幹部や管理職へ広げる流れが有効です。
管理職育成の1on1は、一部の人だけが行う特別な面談ではなく、組織全体で人を育てる仕組みにしていくことが大切です。
15.経営者・幹部が確認すべき管理職育成の指標
1on1で管理職育成を進めるには、実施状況や成長状況を数字でも確認する必要があります。
感覚だけで「育っている」「まだ任せられない」と判断すると、育成が属人的になりやすくなります。
経営者・幹部が確認すべき指標としては、管理職候補者数、1on1実施率、現場責任者任命数、新人定着率、部下の離職率、ヒヤリハット報告件数、改善提案件数、クレーム件数、現場別粗利、残業時間などがあります。
たとえば、管理職候補が担当する現場で新人定着率が高まっていれば、育成力が向上している可能性があります。
ヒヤリハット報告が増えている場合は、危険を言いやすい現場になっている可能性があります。
改善提案が増えていれば、管理職候補が現場を良くする視点を持ち始めていると考えられます。
一方で、管理職候補を任命した現場で離職やクレームが増えている場合は、本人への支援や役割設計を見直す必要があります。
1on1の成果は、すぐに数字に表れるものばかりではありません。
しかし、育成対象者の行動変化、現場の安定度、部下の定着、安全報告、改善提案を継続的に見れば、管理職育成の進捗を把握しやすくなります。
管理職育成を経営課題として扱うためには、1on1の実施と成果を見える化することが重要です。
16.結論・まとめ
産業廃棄物業界で管理職育成を推進するには、現場経験のある社員に役職を与えるだけでは不十分です。
管理職には、安全管理、部下育成、配車調整、顧客対応、現場改善、原価意識、経営方針の浸透など、幅広い役割が求められます。
産業廃棄物処理業では人手不足が深刻な問題となっており、多様な人材の確保が求められているため、採用した人材を現場で育て、管理職へ引き上げる仕組みがますます重要になります。
1on1は、管理職候補の悩みを聞くだけの面談ではなく、管理職に必要な視点と行動を育てるための対話です。
現場責任者には安全管理力を、配車担当には調整力を、工場長候補には数字と現場をつなぐ力を、営業管理職には現場理解と単価改善の視点を育てる必要があります。
また、管理職候補は一般社員と経営層の間で孤立しやすいため、経営者や幹部が1on1を通じて支援し、判断基準や成長課題を共有することが重要です。
1on1で出た課題は、現場改善、安全対策、部下育成、評価制度、研修計画に反映させる必要があります。
管理職育成は、気合いや経験だけに頼るものではありません。
役割を明確にし、段階的に任せ、1on1で振り返り、評価制度や研修と連動させることで、管理職は計画的に育ちます。
産業廃棄物会社が持続的に成長するためには、経営者だけに依存せず、現場を任せられる管理職を増やすことが不可欠です。
1on1を継続的に活用することで、管理職候補の成長を支援し、安全で強い現場組織を作ることができます。
17. 参考資料
環境省|産業廃棄物処理業に関する調査
環境省|令和2年度産業廃棄物処理業における多様な人材の確保に関する調査結果概要
厚生労働省|産業廃棄物処理業におけるリスクアセスメントのすすめ方
厚生労働省|産業廃棄物処理業におけるリスクアセスメントマニュアル
厚生労働省|人材開発支援助成金
厚生労働省|人材開発支援助成金(人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース)申請書類(令和8年4月8日~令和8年5月13日)
中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版)
中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版) 第2部 第1章 第4節 人材戦略
18. 人材採用・募集活性化・1on1・人材定着・離職防止・人的資本経営などに関する無料相談とお問い合わせ
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