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【AIで"2週間→10時間"に】守りの第一歩は、実は"ワンクリック"だった《部長/MDコラム》

2026.10.16

 

【AIで"2週間→10時間"に】守りの第一歩は、実は"ワンクリック"だった《部長/MDコラム》

 

株式会社 船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング

DX部 マネージング・ディレクター

 

こんにちは。船井総研HCCの堤です。

 

2026年10月上旬、セキュリティのニュースが途切れませんでした。

・10月5日、「焼肉きんぐ」公式アプリの会員管理システムに不正アクセスがあり、1,078万8,963件の会員情報が対象に
・佐川急便とヤマト運輸で、相次いで不正アクセスが判明
・10月4日、日本経済新聞社で業務用ソフトのアカウントが攻撃を受け、社員になりすましたメール約9,000件が送信
・10月1日、Microsoft公式のXアカウントまで乗っ取られ、暗号資産詐欺に悪用
・10月1日、一定のインフラ事業者に新たな義務を課す「サイバー対処能力強化法」が施行

そして見逃せないのが、韓国のニュースです。銀行6行が攻撃を受けて4行で情報が流出し、攻撃拠点とみられるサーバーからAIエージェントの痕跡が見つかったとされています。金融当局は「AIの活用を排除できない」として、全金融機関の緊急点検を指示したと報じられています。

 

■ AIで、攻撃は「2週間」から「10時間」へ

Palo Alto Networksが公表した事例では、通常は人間による作業で約2週間を要するとされる攻撃活動が、AIエージェントの利用によって10時間未満で進行したと報告されています。

注目すべきは、新しいゼロデイや特別に高度な手口は使われていない点です。Googleの脅威分析チームも、クラウド資源の乗っ取りから認証情報の収集作戦の実行までが6時間未満だった例を報告しています。

つまりAIは、特別な技術を生み出したというより、「よくある手口」を圧倒的に速く回せるようにしたのです。

出典:Palo Alto Networks Unit 42(2026年9月2日)
https://unit42.paloaltonetworks.com/ai-assisted-cyber-attack-inside-a-unit-42-investigation/
出典:Google Threat Intelligence Group(2026年9月8日)
https://cloud.google.com/blog/topics/threat-intelligence/from-prompting-to-autonomy-the-evolution-of-adversarial-ai

 

■ だからこそ、守りは「基本」で差がつく

ここに朗報があります。手口が「よくあるもの」なら、守りも「基本」で大きく変えられます。

警察庁の2026年上半期のまとめでは、ランサムウェアの侵入経路はVPN機器が約5割、被害組織は中小企業が約6割、復旧に総額1,000万円以上を要した組織が6割でした。

ライデン大学とデルフト工科大学の研究チームも、クラウドストレージの調査から、データ漏えいの多くはサイバー犯罪者ではなく、設定ミスや管理不足といった人的要因で起きていると結論づけています。

出典:警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R8kami/R08_kami_cyber_jousei.pdf
出典:Leiden University / TU Delft(2024年12月)

 

■ 人事・採用のデータも、狙われている

人事に関わる皆様にとって、他人事ではない事例も続いています。

・9月、採用管理サービス「ApplyNow」で、利用しているデータ分析ツールの脆弱性を突かれ、応募者と企業担当者の情報が対象に
・10月2日、第一生命が従業員向け人事システムへの不正アクセスを公表(従業員・退職者 約12万名)
・ある自治体の委託先では、社員が個人で使うChatGPTへ、要配慮個人情報を含む対象者データ19,996件をアップロード

外からの攻撃だけでなく、「社員のAIの使い方」も入口になる時代です。

 

■ 経営者が今週、IT担当者に聞くべき3つの質問

技術の詳細を理解する必要はありません。次の3つを聞いてみてください。

 

Q1.「クラウドの"守りのスイッチ"はONになっている?」

AWSなら「Amazon GuardDuty」。不正な動作を継続的に監視するサービスで、管理画面からワンクリックで30日間の無料トライアルを始められます。Google Cloudなら「Cloud Armor」。ロードバランサ配下のサービスには、大量アクセス型のDDoS攻撃への防御が常時かかります。

 

Q2.「社員が個人のAIアカウントに、業務データを上げられる状態になっていない?」

委託先も含めて、ルールと事故時の報告手順があるかを確認しましょう。

 

Q3.「警告が出たとき、誰に届いて、誰が対応する?」

8月のコラムでお伝えした「属人化」は、守りでも同じです。一人の担当者だけがアラートを見ている状態では、その人の休みの日が無防備な日になります。

 

■ AIを「使う」会社ほど、人の設計が問われる

先月お伝えした「AIエージェントも"承認待ち"で止まる」話と、根っこは同じです。AIのスピードが上がるほど、「どこで人が確認するか」「誰が責任を持つか」という組織の設計が、会社を守る最後の砦になります。

AIを怖がる必要はありません。ただし、AIを使いこなす組織には、ツールのスイッチと同じくらい「人の仕組み」のスイッチが必要です。

 

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堤 剣斗

DX部 マネージング・ディレクター

ワルシャワ大学卒業後、2019年に新卒でHR Forceに入社。入社後は求人広告運用や新規事業を担当した後、PMとして社内のDX化を横断的に推進。2024年より開発、データ基盤構築や全社Ops領域のGMに最年少就任を経て現職。趣味はドラム、ギター、バイク。2026年より現職。

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