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【人材派遣業界の経営・採用】2026年上半期の振り返りと下半期に向けたポイント「その2」

2026.06.11

 

 

本コラム記事では、人材派遣会社の経営者・幹部向けに、2026年上半期時点の人材不足、派遣スタッフ採用、賃金上昇、法令対応、営業戦略、定着支援、社内人材育成を振り返り、下半期に向けた経営・採用強化のポイントを2部構成で解説しています。今回は「その2」をお送りしています。この機会にぜひご覧ください。

※「その1」のコラム記事に関しましては、下記URLからご覧ください。

https://www.hc.funaisoken.co.jp/blogs/column/2026_first_and_second_half_jinzai_haken_industry_keiei_point_sono1

 

1.派遣先企業への提案は人数提案から課題解決提案へ変える

人材派遣会社の営業では、派遣先企業から「何人ほしいか」「いつから必要か」「どのくらいの期間必要か」を聞き、その条件に合わせて人材を提案するケースが多くあります。

もちろん、派遣先の要望を正確に把握することは重要です。

しかし、人数や条件だけを聞いて対応する営業では、価格競争に巻き込まれやすくなります。

2026年下半期に向けては、人数提案から課題解決提案へ営業スタイルを変えることが重要です。

派遣先企業が抱えている課題は、単に人が足りないことだけではありません。

採用しても定着しない、繁忙期だけ人員が不足する、直接雇用の応募が少ない、現場教育に手が回らない、欠勤時の代替が難しい、残業が増えている、管理者の負担が大きいなど、複数の課題が重なっています。

人材派遣会社は、派遣先の業務内容、人員計画、繁忙期、離職理由、教育体制、職場環境、受け入れ体制を確認したうえで、派遣活用の設計を提案する必要があります。

たとえば、未経験者を受け入れるには、作業を分解し、教育担当者を決め、初日の受け入れ手順を整える必要があります。

長期定着を目指すのであれば、初回更新前の面談、派遣先担当者との定期確認、スタッフの不安把握が必要です。

短期的な繁忙対応であれば、即戦力人材を中心にしつつ、事前教育や集合研修を組み合わせることも考えられます。

派遣先企業にとって、人材派遣会社は単なる人員供給会社ではなく、現場の人材課題を一緒に解決するパートナーです。

この立ち位置を確立できる会社は、価格だけで比較されにくくなり、派遣料金の見直しや長期取引の交渉もしやすくなります。

下半期の派遣営業では、案件獲得数だけでなく、派遣先課題の深掘り、定着支援提案、料金改善提案を重視することが重要です。

 

2.派遣スタッフのキャリア形成支援を強化する

人材派遣業界では、派遣スタッフのキャリア形成支援も重要なテーマです。

派遣スタッフの中には、短期的な収入を重視する人もいれば、長期的に安定して働きたい人、スキルアップを目指したい人、将来的に直接雇用を目指したい人、家庭や生活に合わせて柔軟に働きたい人もいます。

そのため、派遣会社は、単に目の前の案件を紹介するだけでなく、派遣スタッフの希望や経験を整理し、今後の働き方を一緒に考える姿勢が必要です。

厚生労働省の労働者派遣事業関係業務取扱要領では、派遣元事業主の講ずべき措置等が整理されており、派遣会社には適正な事業運営とともに、派遣労働者に関する各種対応が求められています。

実務上は、派遣スタッフの経験職種、保有資格、得意業務、苦手業務、今後希望する働き方を記録し、次の案件提案や教育訓練に活用することが重要です。

事務派遣であれば、Excel、電話対応、請求処理、営業事務、経理補助、資料作成などのスキルを整理できます。

製造派遣であれば、組立、検査、機械操作、フォークリフト、品質管理補助、リーダー経験などを整理できます。

物流派遣であれば、ピッキング、梱包、入出荷、在庫管理、リフト作業、夜勤経験などを整理できます。

こうしたスキル情報を蓄積すれば、スタッフ本人にとっても成長実感が生まれ、派遣会社にとっても次の案件提案がしやすくなります。

キャリア形成支援は、派遣スタッフから見れば「自分のことを理解してくれている会社」という信頼につながります。

派遣先企業から見ても、スタッフの経験や強みを整理したうえで提案してくれる派遣会社は、安心して相談しやすい存在になります。

下半期は、派遣スタッフを単なる稼働人員として扱うのではなく、長期的な関係を築く人材として支援することが重要です。

 

3.社内人材の採用・育成も経営課題として捉える

人材派遣会社の採用課題は、派遣スタッフだけではありません。

営業担当者、コーディネーター、求人担当者、労務管理担当者、契約管理担当者、管理部門人材の採用・育成も、事業成長に直結する重要なテーマです。

派遣スタッフの稼働人数が増えるほど、社内人材の業務負担も大きくなります。

営業担当者は、派遣先開拓、求人条件の確認、職場見学、料金交渉、派遣先フォロー、契約更新の調整を担います。

コーディネーターは、応募者対応、面談、案件紹介、就業後フォロー、スタッフ相談対応、更新意向の確認を担います。

管理担当者は、契約書類、勤怠、給与、社会保険、有給休暇、派遣元管理台帳、事業報告、法令対応を支えます。

この社内体制が弱いまま稼働人数を増やすと、担当者の負担が増え、対応品質が下がり、派遣スタッフや派遣先へのフォローが遅れやすくなります。

下半期に向けては、社内人材の教育制度を整えることが重要です。

新人営業には、派遣法の基本、派遣契約、派遣先ヒアリング、料金設計、職場見学対応、スタッフフォローを段階的に教える必要があります。

コーディネーターには、面談力、希望条件の整理、求人説明、離職防止、相談対応、キャリア形成支援を教える必要があります。

管理担当者には、契約管理、勤怠管理、給与計算、社会保険、法令改正対応、行政対応の知識が必要です。

人材派遣会社自身が社内人材を育てられなければ、派遣先企業に対して人材課題の解決を提案する説得力も弱くなります。

下半期は、派遣スタッフの採用だけでなく、社内人材の採用・育成・定着も人的資本経営の一部として捉えることが重要です。

 

4.管理業務のデジタル化で生産性と品質を高める

人材派遣会社は、登録者情報、求人案件、契約書、勤怠、給与、請求、スタッフフォロー、派遣先対応、教育訓練、事業報告など、多くの情報を扱います。

事業規模が拡大するほど、管理業務は複雑になり、紙やExcelだけでは対応しきれない場面が増えます。

下半期に向けては、管理業務のデジタル化を進め、生産性と対応品質を高めることが重要です。

デジタル化すべき領域としては、応募者管理、登録者管理、案件管理、マッチング管理、契約管理、勤怠管理、請求管理、給与連携、スタッフフォロー履歴、派遣先別の離職状況などがあります。

これらの情報が一元管理されていれば、応募から稼働までの進捗が見えやすくなります。

どの案件で応募者が集まっているのか、どの案件で職場見学後の辞退が多いのか、どの派遣先で初回更新率が低いのかも把握しやすくなります。

また、営業担当者とコーディネーターが同じ情報を見られるようになれば、部門間連携も進みやすくなります。

ただし、システムを導入するだけでは成果は出ません。

業務フローを整理し、入力ルールを統一し、担当者が日常業務で使いやすい運用にする必要があります。

デジタル化は、単なる効率化ではなく、採用スピード、マッチング精度、定着支援、法令対応、営業管理を高める経営基盤です。

下半期は、属人的な管理から脱却し、情報を組織の資産として活用することが求められます。

 

5.下半期は採用・定着・料金改善を一体で進める

2026年下半期に向けて、人材派遣会社が重視すべきことは、採用、定着、料金改善を一体で進めることです。

派遣スタッフ採用だけを強化しても、就業後に定着しなければ収益は安定しません。

定着支援だけを強化しても、派遣料金が低ければ、フォロー工数や教育訓練に必要な原資を確保できません。

料金改善だけを進めても、派遣先に納得してもらえるマッチング品質や定着実績がなければ、交渉は難しくなります。

つまり、下半期の人材派遣経営では、採用、マッチング、定着支援、派遣先提案、料金交渉、社内生産性を一体で考える必要があります。

まず、自社が採用できる人材層を明確にします。

次に、その人材層が活躍しやすい派遣先領域を絞ります。

さらに、就業後フォローを強化し、定着率を高めます。

その実績をもとに、派遣先企業へ適正な派遣料金を提案します。

そして、得られた原資を、スタッフ時給、採用広報、教育訓練、社内人材育成、管理システムに再投資します。

この循環を作れる派遣会社は、採用難と賃金上昇の中でも成長しやすくなります。

下半期は、場当たり的な求人出稿や値下げ営業から抜け出し、経営全体で収益構造を見直す時期です。

人材派遣会社が持続的に成長するには、派遣スタッフに選ばれ、派遣先企業から信頼され、適正料金で継続取引できる会社になる必要があります。

 

6.経営者・幹部が下半期に確認すべき指標

人材派遣会社の経営者・幹部は、下半期に向けて、採用、稼働、定着、営業、管理の指標をセットで確認する必要があります。

採用指標としては、応募数、登録数、面談率、案件紹介率、職場見学率、就業決定率、初日出勤率を確認します。

定着指標としては、初回更新率、1か月以内離職率、3か月継続率、派遣先別離職率、担当者別フォロー実施率を確認します。

営業指標としては、新規派遣先数、有効案件数、稼働人数、稼働時間、派遣料金、スタッフ時給、粗利率、料金改定交渉の進捗を確認します。

管理指標としては、契約更新漏れ、勤怠締め遅延、請求処理遅延、教育訓練実施状況、法令対応チェックの状況を確認します。

これらの数字は、単独で見るのではなく、つながりで見ることが重要です。

応募数が多いのに就業決定率が低い場合は、求人訴求と案件条件が合っていない可能性があります。

就業決定率が高いのに初回更新率が低い場合は、派遣先説明、職場見学、初日フォロー、就業後フォローに課題がある可能性があります。

稼働人数が増えているのに粗利率が下がっている場合は、派遣料金とスタッフ時給のバランスを見直す必要があります。

派遣先別に離職率が高い場合は、職場環境、受け入れ体制、業務説明、教育担当者との相性を確認する必要があります。

数字を定期的に確認することで、経営課題を感覚ではなく事実で捉えられます。

下半期は、経営者、営業担当者、コーディネーター、管理部門が同じ指標を見ながら改善を進めることが重要です。

 

7.結論・まとめ

2026年上半期の人材派遣業界は、派遣先企業の人材不足が続く一方で、派遣会社自身も派遣スタッフ採用、賃金上昇、法令対応、定着支援、派遣料金改善、社内人材育成に向き合う必要が高まった時期でした。

人手不足が続く環境では、人材派遣会社への相談ニーズは生まれやすくなります。

しかし、派遣先案件があるだけでは、売上や利益にはつながりません。

派遣スタッフを採用し、希望に合う案件へマッチングし、就業後に定着支援を行い、派遣先企業から継続的に信頼される体制が必要です。

また、賃金上昇が続く中では、スタッフ時給と派遣料金を一体で見直す必要があります。

派遣スタッフに選ばれる処遇を整えながら、派遣先企業にも適正料金の必要性を説明できる営業力が求められます。

さらに、労働者派遣事業は法令対応と適正運営が前提となる事業であり、契約管理、就業条件明示、教育訓練、キャリア形成支援、個人情報管理などを丁寧に実行することが重要です。

下半期に向けて、人材派遣会社が取り組むべきことは明確です。

登録数だけでなく稼働率を重視し、応募から初回更新までの導線を見直す必要があります。

派遣先開拓では、業種特化・職種特化を進め、自社が採用できる人材層と相性のよい案件に集中することが重要です。

派遣スタッフの定着支援では、初日、1週間、1か月、初回更新前のフォローを仕組み化する必要があります。

営業面では、単なる人数提案ではなく、派遣先の人材課題を解決する提案へ変えることが求められます。

社内体制では、営業担当者、コーディネーター、管理担当者を育て、デジタル化によって情報共有と業務品質を高める必要があります。

人材派遣会社が2026年下半期に成長するためには、採用、定着、営業、料金、法令対応、社内生産性を分けて考えないことが重要です。

派遣スタッフに選ばれ、派遣先企業に信頼され、適正料金で継続取引できる会社になることが、2026年下半期の経営・採用強化における最大のポイントです。

 

8. 参考資料

厚生労働省|労働者派遣事業・職業紹介事業・募集情報等提供事業等

厚生労働省|労働者派遣事業関係業務取扱要領

厚生労働省|労働者派遣事業関係業務取扱要領(令和8年5月14日以降)

厚生労働省|労働者派遣事業関係業務取扱要領(※令和8年5月施行分)の改正の概要

厚生労働省|地域別最低賃金の全国一覧

厚生労働省|全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました

中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版)

中小企業庁|2025年版 中小企業白書(HTML版) 第4節 人材戦略

厚生労働省|確かめよう労働条件:労働条件に関する総合情報サイト

厚生労働省|職業紹介事業について

 

9. 派遣会社の経営・人材採用・募集活性化・1on1・人材定着・離職防止・人的資本経営などに関する無料相談とお問い合わせ

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