【成長中の新規事業!】交通誘導警備事業で人的資本経営を実現するポイントとは?
2026.06.03
本コラム記事では、成長中の新規事業として交通誘導警備事業に取り組む中小企業の経営者・幹部向けに、採用・教育・定着・評価制度・現場リーダー育成を通じて人的資本経営を実現し、警備品質と業績向上につなげるポイントを解説しています。この機会にぜひご覧ください。
1.交通誘導警備事業で人的資本経営が重要になる理由
交通誘導警備事業は、建設現場、道路工事、インフラ整備、イベント運営など、社会活動を支える重要な仕事です。警備員が現場で安全を守ることで、発注者や地域住民の安心が確保され、事業そのものの信頼にもつながります。
一方で、交通誘導警備会社の経営では、人材不足、採用難、教育負担、定着率の低さが大きな課題になっています。警察庁の「令和6年における警備業の概況」では、警備業者数や警備員数の状況が公表されており、警備業界全体で多くの人材が従事している一方、現場を安定的に支える人材戦略の重要性が高まっていることが読み取れます。
人的資本経営とは、人材を単なる労働力やコストとして捉えるのではなく、企業価値を高める重要な資本として育て、活かしていく経営の考え方です。経済産業省も、人的資本経営について、経営戦略と人材戦略を連動させる重要性を示しています。
交通誘導警備事業で人的資本経営を実現するには、採用、教育、配置、評価、処遇、定着をバラバラに考えないことが大切です。現場の仕事を担う警備員一人ひとりの成長が、会社の業績、顧客満足、受注継続に直結するという前提で、経営の仕組みを組み直す必要があります。
2.人的資本経営は大企業だけの考え方ではない
人的資本経営という言葉は、上場企業や大企業向けのテーマとして語られることがあります。しかし、中小規模の交通誘導警備会社にこそ、人材を資本として捉える考え方が必要です。
中小企業庁では、中小企業の定義を業種ごとの資本金や従業員数などで整理しています。交通誘導警備会社の多くは、地域密着型で経営される中小企業に該当するケースが多く、限られた経営資源の中で人材をどう活かすかが成長の分かれ目になります。
特に交通誘導警備事業では、設備投資や商品開発以上に、現場品質を決めるのは人材です。警備員の挨拶、誘導技術、危険予知、報告連絡相談、クレーム対応力が、発注者からの評価を左右します。
そのため、人的資本経営は難しい理論ではなく、「良い人を採る」「現場で育てる」「辞めにくい会社にする」「頑張りが報われる仕組みを作る」という実務そのものです。中小交通誘導警備会社では、この基本を経営戦略として明文化することが重要です。
3.採用を人数確保ではなく将来投資として考える
交通誘導警備事業では、受注案件が増えるほど警備員の人数確保が必要になります。そのため、採用活動が「今月の現場に入れる人を集める活動」になりやすい傾向があります。
しかし、人的資本経営を実現するためには、採用を短期的な人員補充ではなく、将来の現場責任者、教育担当者、管制担当者、営業支援人材を育てる入口として捉えることが大切です。
たとえば、未経験者を採用する場合でも、単に「すぐ働ける人」だけを見るのではなく、挨拶ができるか、時間を守れるか、指示を素直に受け止められるか、地域の安全に関心を持てるかを確認する必要があります。
また、シニア人材、若手人材、女性人材、外国人材など、多様な人材が活躍できる環境を整えることも重要です。交通誘導警備の仕事は、体力だけでなく、責任感、観察力、丁寧な対応力が求められます。人材の強みを見極め、現場特性に合わせて配置することで、採用の成果は大きく変わります。
4.教育制度を現場任せにしないことが重要
交通誘導警備会社で人的資本経営を進めるうえで、教育制度の整備は欠かせません。現場に出す前の法定教育だけでなく、現場配属後のフォロー教育、クレーム事例の共有、事故防止教育、リーダー育成までを一体で考える必要があります。
教育が現場任せになると、指導内容にばらつきが生まれます。ある現場では丁寧に教えられても、別の現場では十分な説明がないまま配置されることがあります。これでは、新人警備員が不安を感じやすくなり、早期離職にもつながります。
人的資本経営では、教育を「コスト」ではなく「現場品質を高める投資」として考えます。厚生労働省の人材開発支援助成金では、人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどが示されており、企業内の人材育成を後押しする制度も整備されています。
交通誘導警備会社では、誘導技術、無線対応、危険予知、熱中症対策、クレーム対応、現場報告の方法などを、段階別に学べる仕組みにすることが望ましいです。教育の型を作ることで、新人が安心して成長でき、既存社員の指導負担も軽くなります。
5.定着率を高めるには処遇と関係性の両方が必要
交通誘導警備事業では、採用しても人材が定着しなければ、経営は安定しません。求人費用が増え続けるだけでなく、現場品質が安定せず、管制担当者や管理職の負担も大きくなります。
定着率を高めるには、賃金や手当などの処遇改善だけでなく、日々の関係性づくりが重要です。警備員が「会社から大切にされている」と感じられるかどうかが、仕事への納得感に影響します。
たとえば、現場終了後の声かけ、困りごとの確認、配置への配慮、体調面への気遣い、評価内容の説明などは、すぐに始められる定着施策です。特に交通誘導警備では、屋外勤務や天候の影響も大きいため、経営側が現場環境を理解している姿勢を示すことが欠かせません。
人的資本経営の観点では、離職を個人の問題だけにせず、会社の仕組みの問題として捉えることが大切です。退職理由を記録し、現場別、年齢別、入社月別、教育担当者別に分析すれば、改善すべきポイントが見えてきます。
6.評価制度は現場品質を高める基準にする
交通誘導警備会社では、評価制度が曖昧なままだと、頑張っている警備員が報われにくくなります。結果として、真面目に仕事をしている人材ほど不満を感じ、離職につながる可能性があります。
人的資本経営を実現するには、評価制度を単なる賃金決定の仕組みではなく、会社が求める仕事の基準を伝える仕組みにすることが重要です。
評価項目には、出勤率、遅刻欠勤の少なさ、現場での挨拶、誘導技術、発注者対応、報告連絡相談、事故防止意識、新人への声かけなどを入れることが考えられます。交通誘導警備の仕事は目に見えにくい努力も多いため、評価基準を具体化することが大切です。
また、評価結果を本人に伝える面談も重要です。何ができていて、何を改善すれば昇給や役割拡大につながるのかを説明することで、警備員は成長の方向性を理解できます。評価制度は、人材を管理するためではなく、人材を育成するために活用すべきです。
7.管制担当者と現場リーダーの育成が成長を左右する
交通誘導警備事業が成長するほど、管制担当者と現場リーダーの役割は大きくなります。現場数が増えても、配置調整や現場フォローが属人的なままでは、組織全体に負荷がかかります。
管制担当者は、単に人を現場に割り振るだけの存在ではありません。警備員の能力、体調、相性、通勤距離、現場難易度を踏まえて配置を考える重要な役割を担います。人的資本経営では、この配置判断こそ人材価値を引き出す経営行為と捉える必要があります。
また、現場リーダーは、新人の不安を軽減し、発注者との信頼関係を築き、事故やクレームを未然に防ぐ役割を担います。現場リーダーを育成できる会社は、交通誘導警備事業の拡大に強くなります。
そのためには、経験年数だけでリーダーを任命するのではなく、指導力、責任感、報告力、周囲への配慮を評価することが重要です。現場リーダー候補を早期に見つけ、段階的に役割を任せることで、組織としての成長力が高まります。
8.人的資本経営を数字で見える化する
人的資本経営を進めるには、感覚だけでなく数字で状況を把握することが大切です。特に交通誘導警備会社では、人材に関する数字を見える化することで、経営改善の優先順位が明確になります。
見るべき指標としては、応募数、面接数、採用数、入社率、定着率、早期離職率、教育受講率、資格取得者数、現場クレーム件数、欠勤率、稼働率、現場リーダー人数などがあります。
たとえば、応募数は多いのに採用数が少ない場合は、求人内容や面接対応に課題がある可能性があります。採用数は多いのに早期離職が多い場合は、入社後教育や現場配属に課題がある可能性があります。
人的資本経営では、人材に関する数字を経営会議で確認し、売上や利益と同じように改善対象として扱うことが重要です。人材データを蓄積すれば、どの施策が採用、教育、定着、業績に効いているのかを判断しやすくなります。
9.交通誘導警備事業の成長には営業戦略との連動も必要
人的資本経営は、人事部門だけの取り組みではありません。交通誘導警備事業では、営業戦略と人材戦略を連動させることが重要です。
たとえば、難易度の高い現場ばかりを安価に受注すると、警備員の負担が増え、離職率が高まる可能性があります。反対に、自社の教育水準や現場品質を発注者に伝え、適正な警備料金で受注できれば、処遇改善や教育投資に回す原資を確保しやすくなります。
つまり、人的資本経営を進めるには、「人材を大切にする経営」と「適正価格で受注する営業」をつなげる必要があります。現場品質、教育体制、資格者数、リーダー体制、事故防止の取り組みを営業資料に反映すれば、価格競争から抜け出すきっかけになります。
交通誘導警備事業は、警備員の質がサービス品質そのものです。だからこそ、人的資本への投資を営業上の差別化要素として発信することが重要です。
10.結論・まとめ
交通誘導警備事業で人的資本経営を実現するには、人材を単なる労働力として見るのではなく、会社の成長を支える資本として捉えることが重要です。
採用では、人数確保だけでなく将来の現場リーダー候補を見極める必要があります。教育では、現場任せにせず、段階的に成長できる仕組みを整えることが求められます。定着では、処遇改善と日々の関係性づくりを両立させることが大切です。
さらに、評価制度、管制体制、現場リーダー育成、人材データの見える化、営業戦略との連動まで進めることで、交通誘導警備会社の人的資本経営は実務に落とし込まれます。
成長中の新規事業として交通誘導警備事業を伸ばすには、採用数だけを追うのではなく、「人が育ち、辞めにくく、現場品質が高まり、適正価格で選ばれる会社」を目指すことが必要です。人的資本経営は、そのための経営基盤になる考え方です。
11. 参考資料
警察庁|令和6年における警備業の概況
警察庁|省力化投資促進プラン ―警備業―
経済産業省|人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~
経済産業省|「人的資本可視化指針(改訂版)」の公表について
厚生労働省|人材開発支援助成金
厚生労働省|人材開発支援助成金の申請書類一覧
12. 人材採用・募集活性化・1on1・人材定着・離職防止・人的資本経営などに関する無料相談とお問い合わせ
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