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【外国人登録支援機関業界向け】1on1で管理職育成を推進する方法とポイント

2026.03.31

 

 

外国人登録支援機関業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者に向けて、本記事では1on1を軸に管理職育成を進める方法を解説します。離職防止と定着を実現しながら、支援品質、教育水準、業績向上を同時に目指すための経営実務として整理してまいります。

外国人登録支援機関業を取り巻く環境は、制度運用の厳格化、受入企業の期待水準の上昇、外国人材の就業ニーズの多様化が同時進行しており、従来の属人的な現場運営だけでは安定した経営を維持しにくい局面に入っています。

出入国在留管理庁は、1号特定技能外国人に対する支援計画の実施や各種届出に関する考え方を明示しており、登録支援機関には継続的かつ適正な支援運営が求められています。 

また、厚生労働省が公表した2025年10月末時点の外国人雇用状況では、外国人労働者数と外国人を雇用する事業所数のいずれも過去最多となっており、外国人材の受入れ拡大に伴って、外国人登録支援機関の仕事そのものも一段と高度化しています。

したがって、現場担当者を束ね、教育し、定着を促し、支援品質を底上げできる管理職の存在が、今後の経営と業績を左右する重要な要素になると考えるべきでしょう。 

外国人登録支援機関業を展開する多くの企業にとって、本コラム記事が経営、採用、人材育成、組織づくりを検討する際の基本的な土台になるでしょう。 この機会にぜひご覧ください。

 

1.なぜ今、外国人登録支援機関業界で管理職育成が急務なのか

外国人登録支援機関業の経営において、管理職育成が急務になっている最大の理由は、現場の支援実務が単純な事務処理ではなく、制度理解、対人対応、企業折衝、生活支援、トラブル予防を同時に求められる複合的な仕事へと変化しているためです。
つまり、担当者が一定の経験を積んだだけでは十分ではなく、その担当者を束ね、判断し、支援の優先順位を整理できる管理職がいなければ、組織としての安定運営が難しくなっているのです。
しかも、現場の支援品質は目に見えにくいため、問題が表面化した時点では、すでに外国人材の不満、受入企業の不信、担当者の疲弊が同時に進んでいるケースも少なくありません。

中小企業の外国人登録支援機関では、経営者や幹部が営業、現場支援、採用、人事、教育を兼務していることが多く、管理職育成を後回しにしても短期的には何とか回るように見えることがあります。
しかし、その状態を放置すると、担当者の仕事が属人化し、困りごとが個人の中で閉じ、結果として離職防止の機会を逃しやすくなります。
さらに、管理職候補が育たない組織では、経営者の判断が現場の細部まで必要になり、経営そのものが拡大に耐えにくくなるのです。

したがって、外国人登録支援機関業の今後を考えるなら、管理職を採用だけで補う発想ではなく、既存人材の中から教育と育成を通じて計画的に管理職層を厚くしていく発想が必要です。
その実行手段として1on1が有効なのは、日々の仕事の中で管理職の対話力、判断力、育成力を磨けるからであり、単発研修では補い切れない実務能力を定着させやすいからです。
つまり、1on1は部下面談の技術ではなく、外国人登録支援機関の経営基盤を強くするための管理職育成手法として理解すべきものです。

 

2.外国人登録支援機関における1on1導入の目的と経営上のメリット

1on1とは、上司と部下が定期的に実施する一対一の対話であり、単なる業務進捗の確認ではなく、部下の成長支援、課題把握、心理的な支援、将来の方向性整理を目的とする面談手法です。
この定義を踏まえると、外国人登録支援機関業における1on1の導入目的は、現場担当者の不安や迷いを早期に捉え、日常の仕事を通じて人材育成と離職防止を進めることにあると整理できます。
とりわけ、外国人材対応の現場では、制度の理解不足よりも、相談しにくさ、抱え込み、感情疲労が問題化しやすいため、定期対話の場が経営上の安全装置として機能します。

1on1を導入する経営上のメリットは、主に下記になります。

 

1)管理職が部下の状態を早い段階で把握できるため、問題が深刻化する前に教育や配置調整を行いやすくなる点にあります。

2)部下にとっては、自分の仕事が見られているだけでなく、理解され支えられているという実感が生まれやすくなるため、定着の確率が高まりやすくなります。

3)面談を重ねる中で、管理職自身も質問、傾聴、承認、助言の技術を実務として磨くことができるため、結果的に管理職育成そのものが前進します。

 

また、外国人登録支援機関業では、受入企業との関係維持、外国人材の生活支援、制度対応の正確性がすべて支援品質に直結するため、現場担当者が安定的に力を発揮できる組織づくりが欠かせません。

1on1がその土台になるのは、会議では出にくい本音や、日報には載らない違和感を拾うことができ、経営が現場の微細な変化を見逃しにくくなるからです。
したがって、1on1は福利厚生的な施策ではなく、業績と品質を守る経営施策として位置づけることが重要です。

 

3.1on1が外国人スタッフ支援の品質向上につながる理由

外国人登録支援機関の支援品質は、マニュアルの有無だけで決まるものではなく、担当者が現場の変化をどう察知し、どう整理し、どう次の対応に結びつけるかという判断力によって大きく左右されます。
したがって、担当者自身が疲弊していたり、迷いを言語化できていなかったりすると、支援計画の実行そのものは形式上進んでいても、実質的な支援の質は徐々に低下していきます。
このとき、1on1が機能していれば、管理職は部下の言葉の端々から、支援対象者への対応の詰まり、受入企業との関係のひずみ、社内連携の弱さを早い段階で把握できます。

たとえば、外国人材からの相談件数が増えているにもかかわらず、担当者が「特に問題はありません」と答える場面は少なくありません。
しかし、1on1で経過や感情の変化まで丁寧に確認すると、実際には説明不足、面談頻度の偏り、受入企業側の理解不足など、より本質的な課題が見えてくることがあります。
このように、1on1は事後処理を減らし、支援品質を未然に整えるための管理手法として有効です。

さらに、支援品質の向上は、単に外国人材の満足度を高めるだけではなく、受入企業に対する報告精度の向上や、契約継続率の改善にもつながります。
つまり、現場担当者を支えることは、そのまま外国人登録支援機関の信用を支えることにほかなりません。
その意味で、1on1は管理職の教育手法であると同時に、支援品質を経営レベルで安定させる実践策でもあるのです。

 

4.現場任せでは進まない、管理職育成を仕組み化する重要性

管理職育成がうまくいかない企業の多くは、能力のある担当者を昇格させれば自然に管理職として機能すると考えがちですが、この発想には大きな落とし穴があります。
なぜなら、優秀な担当者であることと、部下を育て、組織を整え、成果を再現させられる管理職であることは、求められる能力が大きく異なるからです。

外国人登録支援機関業では、とくに現場経験の豊富さが重視されやすい一方で、育成力や対話力の訓練が体系化されていないケースが多く見受けられます。

その結果、昇格した管理職が自分のやり方を部下に押しつけたり、忙しさを理由に教育の時間を取れなかったりして、部下の定着に悪影響を及ぼすことがあります。
また、部下側も「相談しても結論しか返ってこない」「仕事の背景を理解してもらえない」と感じるようになると、形式的には在籍していても、組織への信頼は徐々に弱まっていきます。
こうした状態を防ぐには、管理職育成を個人の資質任せにせず、会社として仕組み化する必要があります。

仕組み化とは、管理職に求める役割を明文化し、1on1の目的、頻度、確認項目、記録方法、振り返り方法を一定程度そろえることです。
もちろん、面談の内容まで画一化しすぎる必要はありませんが、最低限の共通基準がなければ、管理職ごとの面談品質がばらつき、育成効果も再現しにくくなります。
したがって、外国人登録支援機関業の経営においては、1on1を導入すること自体よりも、それを管理職育成の仕組みとして継続運用できる設計が重要になります。

 

5.外国人登録支援機関の管理職に求められる役割と基本能力とは

外国人登録支援機関の管理職に求められる役割は、一般的な管理業務にとどまらず、制度運用の正確性、支援の継続性、担当者の教育、受入企業との関係維持、そして組織全体の定着促進まで含む広いものです。
つまり、現場の進捗を見るだけではなく、誰がどの業務で詰まりやすいのか、どの人材にどの教育機会が必要なのか、どの支援先でリスクが高まっているのかを先回りして捉える必要があります。
この役割を果たすためには、実務知識と同じくらい、対話力、観察力、整理力、そして部下の成長を待てる忍耐力が重要になります。

ここでいう対話力とは、話がうまいことではなく、相手が考えていることを引き出し、本人が自分で整理できるよう支援する力を指します。
また、観察力とは、日報や数字だけでなく、反応の鈍さ、相談頻度の低下、表情や言葉遣いの変化といった定性的な兆候から、定着リスクや負荷の偏りを察知する力です。
さらに、整理力とは、現場から上がる断片的な情報を、制度、顧客、社内体制、人材状態という複数の観点で再構成し、次に打つべき手を明確にする能力です。

外国人登録支援機関業では、支援担当者の経験差が大きく、同じ問題でも受け止め方が異なるため、管理職は自分のやり方を答えとして押しつけるだけでは不十分です。
むしろ、部下が状況をどう理解しているのかを確認しながら、その人材に応じた教育や助言を行う必要があります。
その意味で、1on1は管理職の基本能力を鍛える場であり、管理職としての仕事の質を高める最も実践的な機会になるのです。

 

6.1on1で把握すべき現場課題とマネジメント上の盲点

1on1の場で把握すべき課題は、単なる業務の遅れや件数不足だけではなく、その背景にある感情、迷い、認識のずれ、優先順位の混乱まで含めて捉える必要があります。
なぜなら、外国人登録支援機関業における多くの問題は、表面的には小さな連絡漏れや説明不足として現れても、実際には教育不足、判断不安、役割不明確といった構造的要因に根差していることが多いからです。
したがって、1on1で本当に見るべきなのは、目の前のタスクそのものよりも、そのタスクに対して部下がどのような状態で向き合っているのかという点です。

マネジメント上の盲点としてよくあるのは、管理職が自分の経験を基準に「この程度は自分でできるはずだ」と考えてしまうことです。
しかし、外国人登録支援機関の仕事は、制度、言語、文化、企業事情が絡み合うため、同じ案件でも新人と中堅では負荷がまったく異なります。
それにもかかわらず、結果だけを見て評価すると、部下は相談を控えるようになり、結果として離職防止の機会を失ってしまいます。

また、管理職自身が忙しすぎる場合、「問題があるなら言ってくるだろう」と考えがちですが、現実には、定着が不安定な人材ほど自分からは言いにくいものです。
だからこそ、1on1では、仕事の成果だけでなく、困っていること、やりにくさ、将来の不安、支援先との関係性まで確認し、部下が言葉にしづらい論点を引き出す必要があります。
この丁寧な把握ができる管理職こそが、外国人登録支援機関業の現場を安定させる中核人材になっていきます。

 

7.管理職育成を成功に導く1on1の進め方と基本ステップ

1on1を管理職育成につなげるためには、面談を単発の善意で終わらせず、一定の流れに沿って運用することが重要です。
基本的には、事前準備、対話、整理、次回までの行動設定、振り返りという五つの段階で進めると、面談の質が安定しやすくなります。
この流れがあることで、管理職も「何を聞けばよいのか」「どこまで踏み込むべきか」が見えやすくなり、面談経験の浅い人材でも改善しながら続けやすくなります。

事前準備では、前回面談からの変化、案件の進捗、相談件数、遅延要因、本人の様子などを簡潔に整理しておくことが大切です。
対話の段階では、結論を急がず、まず部下の認識を聞き、何に負荷を感じているのか、何がうまく進んでいないのかを言語化してもらいます。
そのうえで、管理職が評価や指示をすぐに返すのではなく、背景と優先順位をともに整理し、本人が自分で次の行動を考えられるよう支援することが重要です。

最後に、次回までの行動を明確にし、面談内容を簡潔に記録しておくことで、1on1は単なる会話ではなく、教育と育成の蓄積へと変わります。
この蓄積が続くと、管理職は部下を見る観点が深まり、部下も「話して終わりではない」と実感できるため、定着や信頼関係の面でも効果が出やすくなります。
つまり、1on1の成功は話し方の巧拙よりも、継続可能な運用ステップを持っているかどうかで大きく左右されるのです。

 

8.傾聴・質問・承認を強化し、部下の主体性を引き出す方法

1on1の質を決める核心は、傾聴、質問、承認の三つを、管理職がどれだけ実務的に使い分けられるかにあります。

「傾聴」

相手の話を黙って聞くことではなく、言葉の内容だけでなく、その背景にある感情や前提を理解しようとする姿勢を指します。

「質問」

管理職が答えを持っていることを示すためのものではなく、部下の思考を整理し、本人の視野を広げるための働きかけです。

「承認」

単に褒めることではなく、部下の努力、工夫、改善、姿勢を具体的に認識し、それが組織にとって意味のある行動であると伝えることです。
外国人登録支援機関業の現場では、正解の見えにくい仕事が多く、部下が「自分の対応が適切だったのか分からない」と感じやすいため、こうした承認の質が定着に大きく影響します。
管理職が結果だけを見て指摘する面談を続けていると、部下は次第に受け身になり、1on1が本来持つ育成効果は弱まってしまいます。

したがって、管理職育成の観点では、まず相手の話を要約し、次に考えを深める質問を置き、最後に行動の意味を承認するという流れを意識するとよいでしょう。
この順序を守るだけでも、部下は「否定される前提の面談」ではなく、「整理しながら前へ進むための面談」だと感じやすくなります。
その結果、主体性が高まり、仕事への向き合い方が安定し、外国人登録支援機関における人材育成の土台が強くなっていきます。

 

9.外国人材支援の現場で起こりやすい悩みを1on1でどう扱うか

外国人登録支援機関業の現場では、制度説明の難しさ、生活相談の幅広さ、受入企業との温度差、緊急対応の多さなどが重なり、担当者は見た目以上に精神的負荷を抱えやすいものです。
しかし、こうした悩みは「仕事だから仕方がない」「自分だけが弱いわけではない」と本人が処理してしまい、組織として把握できないまま蓄積されることがあります。
この蓄積が進むと、ある日突然、担当者の意欲低下、報連相の減少、離職意向の表明という形で問題が顕在化します。

1on1でこうした悩みを扱う際には、まず正誤や評価を急がず、何がつらかったのか、どこで迷ったのか、誰との関係で負荷が高まったのかを具体的に聞く必要があります。

そのうえで、「そのとき何を優先したのか」「別の選択肢は何があったのか」「次に同じことが起きたらどうするか」といった問いを通じて、経験を学びに変えていきます。
この過程を丁寧に行うことで、部下は単に励まされるだけでなく、自分の仕事を再解釈し、次の行動に落とし込みやすくなります。

また、外国人材支援の現場では、文化差や言語差に起因する誤解も起こりやすいため、管理職が部下の話を通じて、支援対象者と受入企業の双方の視点を整理することも重要です。
その整理があることで、担当者は自責や他責に偏らず、支援実務をより立体的に理解できるようになります。
したがって、1on1は感情ケアの場であると同時に、外国人登録支援機関業に必要な実務判断を鍛える教育の場でもあるのです。

 

10.1on1の形骸化を防ぐために押さえたい運用ルールと頻度設計

1on1は導入しただけでは成果につながらず、むしろ運用設計が曖昧なまま始めると、数回で形骸化し、「時間だけ取られる面談」と見なされる危険があります。
とくに外国人登録支援機関業のように日常の仕事が多忙な業界では、面談の意味が曖昧なままでは真っ先に後回しにされ、結果として最も必要な人材ほど機会を失ってしまいます。
したがって、1on1を定着させるには、実施頻度、時間、対象、記録方法、確認項目について、最低限のルールを持っておく必要があります。

一般的には、月1回以上の定期実施を基本としつつ、新任担当者や新任管理職については、より短い間隔で実施する方が効果的です。
時間については、短すぎると表面的な報告で終わり、長すぎると継続しにくくなるため、実態に合わせて一定時間を確保しながら、毎回の論点を絞って進めることが重要です。
また、記録は詳細な議事録ではなく、課題、気づき、次回までの行動を簡潔に残す程度で十分ですが、その蓄積が面談の質を大きく左右します。

さらに、形骸化を防ぐには、管理職の評価項目の中に、人材育成や1on1運用に関する視点を一定程度組み込むことも有効です。
なぜなら、売上や案件処理だけが評価対象になっていると、管理職はどうしても教育や定着より短期成果を優先しやすくなるからです。
つまり、1on1の定着とは、面談予定を入れることではなく、経営がその時間を必要な投資と認識し、仕事の一部として扱うことにほかなりません。

 

11.管理職ごとの面談品質のばらつきを減らす評価と見える化の考え方

外国人登録支援機関業で1on1を導入する際に見落とされやすいのが、管理職ごとの面談品質に大きな差が出るという問題です。
ある管理職は部下の成長を引き出せる一方で、別の管理職は進捗確認や指摘に終始してしまい、同じ制度を運用していても育成成果に差が生まれます。
このばらつきを放置すると、部下の定着や仕事の質が上司によって左右される組織になり、経営として再現性を持ちにくくなります。

そこで重要になるのが、面談品質の見える化です。
見える化とは、面談回数だけを集計することではなく、何を確認したか、どのような支援が行われたか、部下の変化がどう出たかを定性的にも捉えることを意味します。

たとえば、課題の言語化が進んだか、次回行動が明確だったか、部下が安心して話せていたか、面談後に行動変化が見られたかといった観点を持つと、管理職の育成ポイントが見えやすくなります。

また、経営者や上位幹部が、管理職同士の1on1記録や振り返りを一定程度確認することで、各人の面談傾向を把握しやすくなります。
そのうえで、うまくいっている管理職の質問例や進め方を共有すれば、組織全体の教育水準が引き上がりやすくなります。
したがって、1on1を個人技にしないためには、面談品質を見える化し、管理職育成の対象として評価できる状態をつくることが大切です。

 

12.研修と1on1を連動させて管理職育成を加速させる方法

管理職育成を本気で進めるのであれば、集合研修と1on1を切り分けて考えるのではなく、両者を連動させて設計することが効果的です。

集合研修は、制度理解やマネジメントの基礎知識をそろえる場として有効ですが、それだけでは現場での行動変容まで保証できません。
一方で、1on1は現場に即した学びを蓄積できますが、基礎理論や共通言語が不足していると、管理職ごとの解釈がばらつきやすくなります。

そのため、まず研修で「良い1on1とは何か」「管理職の役割とは何か」「離職防止と定着にどう関わるのか」といった共通認識をつくり、その後の実践を1on1で深めていく流れが望ましいでしょう。

さらに、研修後に「次回の1on1では傾聴を意識する」「質問の数を増やす」「部下の仕事の意味づけを行う」といった行動目標を持たせると、学びが現場に移りやすくなります。
この連動設計により、管理職は知識を得て終わるのではなく、実務で試し、振り返り、再度学ぶという育成サイクルを回しやすくなります。

外国人登録支援機関業では、制度変更や支援実務の変化もあるため、管理職教育は一度実施して終わるものではありません。
継続的に学びと実践を往復させることで、管理職の力量差が縮まり、部下育成の質も安定しやすくなります。
つまり、研修と1on1の連動は、教育コストを増やす施策ではなく、人材育成の効率と再現性を高める経営投資として捉えるべきです。

 

13.経営層が関与すべき、1on1文化を組織に定着させるポイント

1on1を文化として組織に定着させるうえで、経営層の関与は不可欠です。
なぜなら、現場の管理職がいくら必要性を理解していても、経営者や幹部がその価値を言語化せず、業績だけを優先するメッセージを出していれば、面談は容易に後景へ退いてしまうからです。
とりわけ外国人登録支援機関業のように日常対応が多い組織では、何を優先すべきかという経営メッセージが、そのまま現場の行動基準になります。

したがって、経営層は「1on1は部下のための時間ではなく、組織力と業績を高めるための時間である」と明確に伝える必要があります。
また、管理職に実施を求めるだけでなく、経営層自身も管理職との1on1を通じて、育成の姿勢を体現することが重要です。
この上から下への一貫性があると、1on1は制度ではなく文化として受け止められやすくなります。

さらに、経営層が確認すべきなのは、実施回数だけではなく、面談を通じてどのような人材課題が見えてきたのか、どの教育テーマが必要なのか、どの部署で定着リスクが高いのかという情報です。

この情報を経営判断に反映できれば、1on1は現場の個別面談を超えて、経営の意思決定を支える情報基盤になります。
つまり、1on1文化の定着とは、管理職の努力に委ねるのではなく、経営そのものが人材育成を中心に据える組織運営へ転換することなのです。

 

14.離職防止・定着率向上・支援品質向上につなげるKPI設計とは

1on1の効果を経営として把握するためには、感覚的に「雰囲気が良くなった」と評価するのではなく、一定のKPIを設計して追う必要があります。
KPIとは、重要業績評価指標のことであり、施策がどの程度成果につながっているのかを継続的に確認するための指標です。
外国人登録支援機関業においては、売上だけを追うのではなく、定着、教育、支援品質に関わる指標も合わせて持つことが重要です。

たとえば、人材面では離職率、定着率、面談実施率、育成対象者の成長度合い、相談件数の質的変化などが参考になります。
業務面では、受入企業からの問い合わせ件数、トラブル再発率、支援計画の実施精度、報告の遅延件数、対応漏れの減少などが見どころになります。
さらに、組織面では、管理職ごとの1on1継続率、部下から見た面談有効性、教育テーマの共通化率などを確認すると、管理職育成の進み具合が見えやすくなります。

重要なのは、これらの指標を罰則的に用いるのではなく、改善のための対話材料として扱うことです。
数字だけで管理すると、面談件数をこなすことが目的化しやすくなるため、定量と定性の両面から確認する運用が望ましいでしょう。
そのように設計されたKPIは、外国人登録支援機関業の経営において、1on1が離職防止、定着、業績向上にどう寄与しているかを客観的に示す土台になります。

 

15.外国人登録支援機関が1on1で強い管理職組織をつくるための実践ポイント

ここまで見てきたように、1on1を通じた管理職育成は、単なる人事施策ではなく、外国人登録支援機関業の経営基盤を整える実践策です。
そのうえで、実務として成功させるには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

 

1)1on1の目的を「評価」ではなく「育成」に置き、部下が本音を出しやすい空気をつくることが欠かせません。

2)管理職に丸投げせず、経営層が目的、運用、期待役割を明確に示し、継続しやすい仕組みを整える必要があります。

3)面談内容を通じて見えてきた課題を、個人の問題として閉じず、教育テーマや業務設計の改善へつなげる視点が重要です。

4)管理職自身も1on1を受ける立場となり、自らの育成課題や対話の癖を見直す機会を持つことが望ましいでしょう。

5)受入企業対応、外国人材支援、社内育成という複数の仕事を統合して考え、1on1を現場の実務改善と結びつけることが大切です。

 

このように設計された1on1は、単に人間関係を良くするだけでなく、管理職の判断水準を高め、人材の定着を促し、結果として業績の安定にもつながります。
したがって、外国人登録支援機関業の中小企業がこれから強い組織をつくるためには、1on1を日常の仕事に深く組み込む発想が欠かせません。

 

16.結論・まとめ

外国人登録支援機関業における管理職育成は、もはや将来の課題ではなく、現在の経営課題として取り組むべきテーマです。

外国人材の受入れ拡大に伴い、支援の品質、制度対応の正確性、受入企業との関係構築、現場担当者の定着を同時に実現する必要が高まっている以上、現場を束ねる管理職の質が企業力を左右する時代に入っています。
その中で1on1は、部下の悩みを聞くためだけの面談ではなく、管理職の対話力、育成力、判断力を鍛えながら、離職防止と定着を進める経営手法として極めて有効です。

また、1on1を本当に機能させるためには、面談技術だけを学ぶのではなく、目的の明確化、運用ルールの整備、面談品質の見える化、研修との連動、経営層の関与まで含めて仕組みとして設計することが重要です。

そのようにして初めて、1on1は個人任せの善意ではなく、外国人登録支援機関の教育と育成を支える再現性のある取り組みへと変わります。
経営者や幹部の皆様には、1on1を「忙しいから後回しにする対話」ではなく、「忙しいからこそ先に整えるべき仕事」と捉え、強い管理職組織づくりの中核に据えていただきたいと考えます。

 

17. 参考資料

中小企業庁|中小企業・小規模企業者の定義 
中小企業庁|中小企業の定義について
出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について
出入国在留管理庁|特定技能所属機関・登録支援機関による届出(提出書類)
厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)

 

18. 外国人登録支援機関の経営、人材採用・募集活性化に関する無料相談とお問い合わせ

船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングでは、外国人登録支援機関の経営者・幹部層・人事責任者向けに、外国人登録支援機関の業績アップ、人材採用・人材募集の活性化に関する無料相談やお問い合わせを受付しております。この機会にぜひ下記詳細をご確認の上、お申し込みください。

 

<詳細・お申し込みはこちらから>

 https://www.hc.funaisoken.co.jp/pages/consultation

 

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