【2026年最新】人材採用×AIの振り返りと今後の動向・展望
2026.01.29
1. 中小企業が直面する人材採用の「深刻な人手不足」と「定着」の現状分析
1-1. 従業員規模別に見る人材の過不足状況
日本の中小企業が直面する最も深刻な経営課題の一つが、人材の確保と定着です。特に従業員規模が30名以上の企業では、実に7割以上が人材不足を感じているという現状があります。これは、単に採用が難しいというだけでなく、事業継続や成長そのものに直結する重要な問題です。
具体的に従業員規模別のデータを見てみると、人材不足を感じている企業の割合は以下のようになっています:
従業員100名超の企業: 80.1% が「不足」を感じている。
従業員50名超100名以下の企業: 76.4% が「不足」を感じている。
従業員30名超50名以下の企業: 73.3% が「不足」を感じている。
従業員30名以下の企業: 57.0% が「不足」を感じている。
このデータからも分かる通り、企業規模が大きくなるほど、「人材不足」の認識はより深刻化しています。特に30名以上の規模では、人手が足りないという感覚が一般的な状況になっていると言えるでしょう。
1-2. 人材不足が引き起こす「定着」への影響
さらに、この人材不足の状況は、従業員の定着状況にも直接的な悪影響を及ぼしています。人材不足企業ほど離職率が高いと言えます。
中小企業庁の調査データ(2025年度版中小企業白書より)によれば、人材が「不足していない」と回答した企業と比較し、人材が「不足している」と回答した企業では、高い離職率(3割以上7割未満、または7割以上)の合計が大きく上回っています。
この連鎖は、「人が足りないから既存社員の業務負荷が増える」→「業務負荷が増えた結果、離職者がさらに増える」→「採用難易度がさらに高まる」という負のスパイラルを生み出します。採用活動は、単なる「入口」の確保だけでなく、「定着」という「出口」までを見据えた、一貫した戦略が不可欠です。
1-3. 労働人口減少下における「伸びる」求職者セグメント
労働人口全体は減少傾向にあるものの、一部のセグメントにおいては求職者数や就業率が近年顕著に増加しています。企業が採用ターゲットを拡大し、不足を補うために注目すべき3つのセグメントが挙げられます。
外国人雇用: 厚生労働省のデータによると、外国人労働者数は2010年の65.0万人から、2024年には230.3万人へと大幅に増加しています。
シニア雇用: 総務省の労働力調査に基づき、65歳以上の就業率推移は上昇傾向にあります。
未経験者(異業種・異職種転職): 転職市場では、特に「異業種×異職種」のパターンでの転職割合が近年伸びており、2013年(30.4%)から2022年(39.3%)にかけて増加しています。
企業側は、異分野での経験を活かせるよう、ポテンシャル採用や育成プログラムの強化が求められます。
2. 「外部依存型」から「企業主体型(インハウス化)」へのシフトと具体的な手法
2-1. 採用手法の主導権が「企業主体型」へ明確にシフト
従来の採用活動は、人材紹介会社や転職サイトといった「外部依存型」のチャネルが主流でした。しかし現在、採用活動の主導権は、従来の「外部依存型」から「企業主体型(インハウス化)」へと明確にシフトしています。これは、採用の費用対効果の見直しや、採用プロセスの内製化と効率化が加速していることが背景にあります。
2-2. 急成長する「企業主体型」のチャネルと「外部依存型」の鈍化
マイナビの調査データ(2023年実績)によると、企業が能動的に候補者へアプローチするチャネルや内製化・効率化を支援するツールが急伸している一方で、従来型の外部チャネルは採用人数が減少・鈍化傾向にあります。
【成長率が特に高いチャネル(2022年→2023年実績)】
採用管理ツール(ATS): 2023年平均3.73人で、成長率+224.3%。
SNS: 2023年平均0.92人で、成長率+240.7%。
ヘッドハンティング: 2023年平均2.12人で、成長率+81.2%。
フリーペーパー: 2023年平均0.96人で、成長率+88.2%。
リファラル採用: 2023年平均1.55人で、成長率+12.3%。
【採用人数が減少・鈍化しているチャネル(2022年→2023年実績)】
折込求人紙: 2023年平均0.96人で、成長率-31.4%。
縁故(コネ採用): 2023年平均0.92人で、成長率-20.6%。
人材紹介会社: 2023年平均3.48人で、成長率-14.4%。
転職サイト: 2023年平均4.04人で、成長率-7.1%。
採用手法の戦略的な使い分けが進む中で、企業には「内製化・効率化」と「能動的アプローチ」の強化が強く求められています。
3. 2026年予測:採用市場が「労働者が選ぶ市場」に変化!企業が注力すべき3つの要因
3-1. 需給バランスの逆転と「採用力の二極化」
2026年以降、人材採用市場はさらに需給バランスが逆転し、「企業側が選ばれる立場」がより顕著になると予測されています。これにより、採用力の高い企業とそうでない企業の「二極化」が加速するでしょう。採用市場の環境は、以下の3つの構造的な変化により厳しさを増します。
採用コストの上昇(供給コスト増):
賃上げ圧力や求人媒体費の高騰に加え、ブランディング・情報発信・候補者体験設計 (CX) など、企業主体での活動が増加します。
労働人口の減少(分母の縮小):
生産年齢人口の減少が続き、定着・育成・再活用を含め、柔軟な雇用形態を組み合わせた人材循環設計が鍵となります。
採用DX・AIの浸透(需要構造の変化):
生成AIや自動化ツールの普及により、採用業務の効率化が急速に進行します。AIを活用し、データに基づく判断とスピード対応ができる企業と、従来型の運用を続ける企業との間で「採用生産性格差」が広がります。
結論として、今後は「採用を仕組みとして運用できる企業」が優勢となる時代です。
3-2. 採用における生成AI活用の「設計から実行・改善」への転換
日本の企業における生成AI活用の方針策定率は42.7%と半数を下回っており、実際の業務利用率も25.8%程度です(25年7月時点の集計)。採用領域では、求人票作成・求職者への連絡文案・スクリーニング補助などオペレーション業務へのAI活用が確認されており、今後「設計から実行・改善」までAI駆動型に転換する見込みです。
3-3. 安全性・コンプライアンスと採用プロセス変化の両立
AI活用が進む一方で、米国を中心に「AIによる選考トラブル(判定基準の不透明化・不正受験など)」が報告されています。日本企業でもガイドライン策定が急務となっており、「どこまでAIに任せるか」と「説明責任をどう担保するか」が採用戦略上の重要な論点です。企業は“生成AI前提の採用プロセス”において、モデル・ツールの選定、運用ルール、説明可能性、データ管理などを一体設計する必要があります。
4. 採用目標達成に寄与するAI活用:「活用群81.4%達成」が示す効果と導入メリット
4-1. 米国HRTech領域におけるAI活用のトレンド
世界的に見て、特に米国ではAIの採用領域での活用が主流フェーズに到達しています。
採用業務のAIエージェント化:
AIはもはやツールではなく、採用チームのメンバーとして定着し、オペレーションを自動化・最適化する“エージェント化”の段階に入りました。
タレント・インテリジェンスの時代:
AI活用は、単なるスクリーニング効率化から人材データの統合・分析による意思決定支援へ進化しています。これにより、“即戦力採用”から“将来価値を見極める採用”へと変化しています。
倫理・透明性の確保が競争要件に:
AI活用が拡大する一方で、判定基準の不透明性やアルゴリズムバイアスへの懸念が高まっています。企業はExplainable AI (説明可能なAI) による透明性確保を進め、「信頼性」そのものが競争要件となるでしょう。
5. 生成AIが「求職者側」にも浸透!ES推敲(68.8%)など、企業側が備えるべきAI前提の選考プロセス
5-1. 求職者側のAI活用率の急上昇
生成AIの活用は、企業側だけでなく、求職者側にも急速に浸透しています。
2026年卒学生のAI利用経験率は82.7%で、2年前の39.2%から倍増しています。さらに、就職活動におけるAI利用率は66.6%に達しており、25卒・26卒の学生では、「エントリーシート推敲でのAI利用」が68.8%と最多です。
5-2. AI前提の応募・選考への対応
こうした動きから、求職者側も“生成AIを前提とした準備・提出・応答”がデフォルト化しつつあります。企業側は、以下の対応が求められます。
応募書類の真贋見極め:
AIが作成したエントリーシート(ES)や履歴書の内容を、従来の「文章力」ではなく「内容の具体性や一貫性」で評価する能力が必要です。
面接における深掘り:
面接でAI生成では対応しきれないような、パーソナルな動機や具体的な行動経験を深掘りする質問設計が重要になります。
AI選考の信頼性担保:
企業がAIをスクリーニング等に活用する場合、その「透明性」と「説明可能性」を確保しなければなりません。
6. 採用ファネルの「再設計」:認知・興味から定着までを貫く「採用体験(CX)」とは?
6-1. 採用難時代に求められる「採用ファネル再設計」
採用市場は、企業主導から「選ばれる時代」に変化しています。企業は、従来の採用プロセス(ファネル)を再設計し、経営レベルでの実装を進める必要があります。
この再設計の中心となるのが、CX(Candidate Experience:候補者体験)です。
6-2. 採用ファネルと企業の打ち手
採用ファネルは、認知、興味、応募、選考・評価、内定、入社、配属、活躍、継続・愛着、紹介・発信までを一連の流れとして捉えます。特に、入社前の段階で、候補者の「入社意欲」や「社内解像度」をいかに高めるかが重要です。
企業がファネルの各段階で取るべき主な「打ち手」は以下の通りです。
認知の段階での打ち手は、認知拡大。
興味・応募の段階での打ち手は、選ばれる対応。
選考・評価の段階での打ち手は、企業理解と活躍イメージの具体化。
内定・入社の段階での打ち手は、オンボーディング。
配属・活躍の段階での打ち手は、継続的な育成機会。
継続・愛着の段階での打ち手は、定着への取り組み。
紹介・発信の段階での打ち手は、活躍人材の定義化。
採用活動を成功させるには、これらの打ち手を「採用体験」「AI活用」「データ化」という3つの要素でサポートすることが求められます。
6-3. 採用を「企業ブランドを体感させる顧客体験」としてデザインする
採用は「選考の場」ではなく、候補者が企業価値を体感するCXプロセスに変化しています。応募から入社後の定着までを一貫した候補者体験ジャーニーとして設計することが競争優位となります。
AIは、エントリーデータ・面接ログ・フィードバックコメントなどから、「どこで共感し」 「どこで離脱したか」を解析します。これにより、感情データと行動データを掛け合わせ、CXを定量的にマネジメントし、「体験設計によるブランド形成」を実現することが目標です。
7. ChatGPT活用例:ペルソナ提案・求人原稿作成・画像生成アシストにおけるAIの「エージェント化」
7-1. AIを「採用オペレーティングシステム(OS)」として実装する
AIは、求人作成やスカウト文面の自動生成、応募者対応、面接評価整理など、採用プロセス全体を横断的に支えるオペレーション基盤へと進化しています。AIはもはやツールではなく、「人事判断を支えるOS」として位置づけるべきです。
このOSとしてのAIが担う領域と、人が担う領域は以下の通りです。
AIが担う領域は、分析・提案・改善。
人が担う領域は、判断・共感・設計。
AIをOSとして活用することで、属人化していた採用業務は再現性のある経営プロセスへと変わり、採用の精度・スピード・持続性が飛躍的に高まる鍵となります。
7-2. ChatGPTを活用した具体的なAI活用例
生成AIの代表例であるChatGPTを活用することで、採用業務は劇的に効率化されます。具体的な活用例は以下の通りです。
ペルソナ提案:
求人票から想定されるペルソナ像をAIが作成し、そのペルソナが何を求めているかを示すことで、HR担当者は自社の魅力の優先度を決めることができます。
求人原稿作成:
広告原稿を、AIがペルソナ像と貴社求人票の情報を基に、作成ノウハウを組み込んで作成します。
画像生成アシスト:
作成した原稿から画像を生成する際、AIが質問に答えるだけで画像作成をサポートし、画像構成の検討や提案を行います。
8. 採用力を飛躍させる「共感形成型採用」:ターゲットを“条件”でなく“動機”で定義する方法
8-1. 「発信型採用」から「共感形成型採用」への移行
採用市場の主導権が求職者に移る中で、採用戦略を根本から見直す必要があります。従来の採用(発信型採用)に対し、現代に求められるのは「共感形成型採用」です。これは、候補者に企業のストーリー、ビジョン、社員の言葉などを伝えることで共感を形成する手法です。
8-2. ターゲットを“動機”で定義する戦略
AIを用いた市場分析により、候補者層の興味・関心・行動パターンを定量的に把握することが可能になります。
これにより、ターゲットを従来の「条件」でなく「動機」で定義し直します。
具体的な戦略は以下の通りです。
共感設計:
採用広報、SNS、リファラルなど、多層的なチャネルを連動させ、一貫したメッセージを発信します。
構造設計:
「自社のビジョンに共感する層に自然に見つけてもらう構造」を設計します。これにより、候補者側から「見つけてもらう採用」へと転換します。
9. 「採用充足度×事業成長度」4つのフェーズ別(A〜D)戦略マップ
9-1. 自社の現状把握と取るべき戦略の明確化
人材採用と事業成長の観点から、企業は自社の状況を4つのタイプに分類し、それぞれに応じた戦略をとる必要があります。
A=成長加速型(拡張フェーズ):
採用充足度「充足」×事業成長度「成長」。課題: 「採用の標準化」と「リーダー層の育成」。
B=組織変革型(採用逼迫フェーズ):
採用充足度「困っている」×事業成長度「成長」。緊急課題: 採用強化、離職抑止。鍵: AIによる採用業務効率化の導入。
C=経営改革型(変革必要フェーズ):
採用充足度「充足」×事業成長度「鈍化」。課題: 「イノベーション人材」がでる環境づくり、デジタル人事制度の再構築。
D=基盤再構築型(危機フェーズ):
採用充足度「困っている」×事業成長度「鈍化」。緊急課題: 属人的な採用運用から脱却し、事業計画とかみ合う人材戦略を構築する。鍵: AI・DXを活用した基礎体力の再構築。
9-2. どのフェーズでも共通して求められるAI・DXの活用
どのフェーズにおいても、AI・DXの活用は採用戦略の基礎体力として求められます。特に採用に困っているBとDの企業にとっては、AIによる採用業務効率化の導入(B)や基礎体力の再構築(D)が鍵となります。充足しているAやCの企業にとっても、AIは「採用の標準化」(A)や「人事制度の再構築」(C)を進めるためのデータ基盤として不可欠です。
10. 事例紹介:AI導入で面談工数85時間削減!属人性を排した「採用判定専用AI」開発の裏側
10-1. 事例1: A社(サービス業)採用体験の抜本的見直しによる成果向上
採用目標未達に悩んでいたA社は、「採用は全社の経営課題」と位置づけ、以下の取り組みにより、持続可能な採用体制を構築し、大幅な成果向上を実現しました。
チャネルの全面見直しと業務内製化。
採用CX設計の抜本的見直し。
採用業務の可視化・データ化・共有化。
結果として、採用達成率が73%から163%へ(前期比2.2倍)向上し、応募者数も前期比150%増、内定辞退率も30%改善しました。
10-2. 事例2: B社(製造メーカー)採用判定専用AIによる業務生産性向上
B社は、中途採用の1〜2次面談における「人の判断の揺らぎや属人性、認知バイアス」を排除し、一貫した評価基準を求めてAI活用を推進しました。
AI開発:
企業独自の評価基準に基づいた専用のAIを開発しました。
データ連携: 評価指標データや適性検査結果などを評価AIに連携させました。
フロー組込:
既存の採用フローから評価AIを利用するフローへ変更しました。
この導入により、1〜2次面談をAIで代替した結果、約85時間(9,400分→4,000分)の削減
に成功し、業務生産性が向上しました。属人性が排除され、採用担当者は本質的な業務へ時間を集中できるようになりました。
10-3. 事例3: C社(人材派遣業)AI活用によるリードタイムの劇的な短縮
C社は、ヒアリングから募集原稿作成までにかかる時間を短縮し、顧客満足度を向上させることを目指し、AIを活用しました。
AI開発:
市場分析、ペルソナ設計、原稿作成など、用途別にAIを開発。
実用化:
営業の現行フローを整理してAI活用ポイントを定め、AIを活用し、想定した通りに業務ができているか確認・浸透まで実行。
これにより、ヒアリングから提案までのリードタイムが半日〜数時間から数十分に大幅な時間短縮となりました。お客様の目の前でペルソナ・原稿を作成・提案できるようになったことで、顧客満足度が大幅に向上しました。
11.参考資料
中小企業庁 2025年度版中小企業白書
厚生労働省「外国人雇用状況」
総務省「労働力調査」
株式会社船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング「採用×AI時流予測レポート2026」
12.船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングがお手伝いできること
貴社の事業拡大を支援するため、船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングでは以下のコンサルティングサービスを提供しています。
12-1. 個別コンサルティング: 採用力向上×AI活用実行支援
外部環境調査と戦略策定(フェーズ1):ターゲット選定(業界・職種・エリア)、求職者マーケット分析、競合分析を実施し、最適な営業・求職者獲得戦略および差別化コンセプトを設計します。
各種ツールの納品(フェーズ2):法人営業支援ツール(トークスクリプト、提案資料、契約書テンプレート)や、人材募集運用ツール(求人原稿、広告運用マニュアル)、求職者マッチングツールなど、実践ツールを提供します。
実行支援(月次支援):策定した戦略を実行するための実務的支援を月1回行い、営業ロープレや求職者対応の研修、KPIマネジメントを通じて採用力向上をサポートします。
12-2. 集合型定期勉強会: 採用力向上経営フォーラム
全国トップクラスのゲスト講師や専門コンサルタントによる成功ノウハウの共有。
実践企業同士のリアルな情報交換会への参加。
会員限定データベースを通じた過去の講演動画や資料の入手。
新規参入から事業拡大まで、一気通貫でサポートいたします。
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13.【船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング制作】「採用×AI時流予測レポート2026」
船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング制作の「採用×AI時流予測レポート2026」を無料でダウンロードいただけます。この機会にぜひご覧くださいませ。
