【2026年最新】廃棄物・環境リサイクル業界の人材採用の振り返りと今後の動向・展望

2026.01.29

1.現状分析:環境リサイクル業界が直面する「現業職」の慢性的な人手不足

1-1.中小企業における経営課題の核心:コロナ禍以降の人手不足DIの推移と現業職への影響

あらゆる業界で慢性的な人手不足が進行しており、特にドライバーや工場作業員などの「現業職」の不足が深刻です。中小企業における経営課題として、「人手不足」に課題を感じる企業が多い状況です。

中規模企業(85.7%)、小規模事業者(88.0%)のいずれにおいても、「現業職」の不足を訴える割合が非常に高く、他の職種を圧倒しています。

 

1-2.日本全体を覆う構造的課題:生産年齢人口の減少と高まる若年層採用の競争

根本的な労働力不足は、1995年の8,726万人をピークに減少が続く生産年齢人口(15~64歳)の減少に起因します。

この減少傾向は今後も続き、若年層の確保は困難を極め、特に高卒採用市場では激しい獲得競争が続いています。

2070年の日本の将来推計では、15~64歳人口割合は52.1%、高齢化率は38.7%に達すると見込まれています。

 

1-3.職業別の実態:トラックドライバー(自動車運転従事者)の有効求人倍率の高止まり

令和7年8月時点の全職業における有効求人倍率が1.18倍であることに対し、環境リサイクル業界でも多くの従事者が存在する「自動車運転従事者」(トラックドライバー)は2.77倍と高水準であり、採用難の状況が続いています。

輸送・運転従事者全体で見ても、有効求人倍率は2.32倍と高い水準です。これは、運搬、清掃といった同業界の他の職種(運搬従事者1.08倍、清掃従事者0.99倍)と比較しても顕著な高水準です。

2.「2024年問題」の顕在化:収集運搬ドライバーの採用難と人手不足倒産の動向

2-1.改正労働基準法適用後の影響:残業規制と運輸・倉庫業における人手不足割合

2024年4月の改正労働基準法適用から1年以上が経過し、その影響が顕在化しています。
2025年時点で、「運輸・倉庫業」の約6割が人手不足と回答しています。

残業規制への対応ができないこと等による経営難から、「人手不足倒産」は過去最多を更新しており、「道路貨物運送業」での増加(前年同期比で大幅増)も目立っています。

 

2-2.業界固有の経営課題:産業廃棄物処理業の「従業員の不足」と定着難の理由

産業廃棄物処理業における景況動向調査結果を見ると、経営上の問題点として「従業員の不足」が多くの企業から挙げられています。

従業員不足の要因として、「要件に合う人材の応募がない」ことだけでなく、「雇用しても、定着率が低い」「定年退職者の増加」も大きな要因です。

人材確保・定着難の理由の一部には、業種特性(3K)、労働環境(早出・残業)、処遇への不満(賃金・賃上げ)、キャリアアップの不足などが想定されます。

 

3.採用と定着の危機:高齢化・技術継承の「2025年問題」と低い定着率への対策

3-1.団塊世代の大量離職と技術継承のラストチャンス:ベテランの暗黙知の形式知化

団塊世代の大量離職(2025年問題)が本格化し、ベテランの持つ「暗黙知」の継承が待ったなしとなります。

技術継承のためには、高齢社員の再雇用やメンター制度と並行し、マニュアル整備やDX(作業の自動化・データ化)による「形式知化」を急ぐ必要があります。

単に採用するだけでなく、「いかに定着させ、技術を継承するか」が喫緊の課題です。

 

3-2.採用コストの無駄を生まない:オンボーディング設計と「採用」から「定着」への意識転換

「採用CX(候補者体験)」の重要性が高まっており、応募から内定までの体験設計が内定承諾率を高めます。

採用を「入社まで」で終わらせず、入社後の「オンボーディング」(定着・即戦力化支援)までを設計することが必須です。

早期離職は採用コストを無駄にするため、「定着」は「採用」以上に重要なテーマとなります。

 

3-3.経営戦略と連動した「人的資本経営」の視点:人員計画の策定と投資

2026年は、人材を単なる「コスト」ではなく「投資すべき資本」とみなす「人的資本経営」の視点を持つことが推奨されています。

自社の中期経営計画に連動した、数カ年の「中途・新卒の人員計画」を明確にすることが必要です。

採用だけでなく、「離職・退職」や「社員1人あたり生産性」、「社員の平均年収」といった指標を連動させることが重要です。

4.2026年採用時流予測①:「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」と社会貢献性を訴求する採用戦略

4-1.SDGs/ESGから一歩進んだ国策:脱炭素社会への貢献をアピールするGX採用

SDGsやESGから一歩進み、脱炭素社会の実現に向けた「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」が国の主要戦略となっています。

「静脈産業」である環境リサイクル業界は、「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」にいかに貢献しているか、その社会的意義を具体的に発信することが重要です。

この発信は、意識の高い求職者(特に若年層)への強力な動機付けとなります。

 

4-2.「何の仕事か」から「なぜ社会課題を解決するのか」へ:パーパスとウェルビーイングの発信

求職者は「何の仕事か」だけでなく、「なぜ社会課題を解決するのか(=パーパス)」、「社員がいかに幸福に働いているか(=ウェルビーイング)」の発信を重視するようになっています。

SNSや動画で、BtoBの枠を超えた社会インフラとしての役割を伝えることが重要です。
採用特設サイトでは、「働き甲斐」(企業理念、ビジョン、施工実績)だけでなく、「働きやすさ」(福利厚生、キャリアステップ)や「安心感」(社員インタビュー、DX化の取組み)のコンテンツを徹底的に充実させることがポイントとなります。

 

5.競争力強化へ:採用活動を成功に導く「ベースアップ(ベア)」と処遇・評価制度の改善

5-1.物価高騰と採用難への対応:「ベースアップ(ベア)」実施の必須化

物価高騰と慢性的な人手不足、そして最低賃金の大幅な引き上げを受け、2026年は「ベースアップ」(基本給の引き上げ)の実施が、採用競争力に直結します。

残業代に依存した給与体系から脱却し、安定的な処遇を示すことが求められます。

経営上の問題点として「人件費の増加」が挙げられている中でも、処遇改善は採用競争力を保つために必須となります。

 

5-2.処遇と連動した制度設計:能力や成果に基づく評価・賃金制度への移行

採用競争力を高めるため、能力や成果に基づく評価・賃金制度への移行が必須です。
専門人材の獲得競争においては、魅力的な処遇(年俸制、フレックス)や、経営に近いポジションの提示が有効な対応策となります。

この処遇改善は、定着難の理由の一つである「処遇への不満(賃金・賃上げ)」を払拭する上でも重要です。

6.ドライバー不足の切り札:特定技能(自動車運送業)の本格化と外国人材活用の体制整備

6-1.2025年からの本格運用:特定技能「自動車運送業」と収集運搬ドライバーへの登用

2024年に「自動車運送業」が特定技能の対象分野に追加され、2025年から本格運用が始まりました。

ドライバー不足対策の切り札として、2026年は受け入れが加速すると予測されます。
環境リサイクル業界では、収集運搬ドライバーとしての登用を見据えた活用が重要になります。

 

6-2.外国人材受け入れ成功の鍵:生活支援と日本語教育の整備による定着の確保

外国人材を確保し優位に立つ企業は、受け入れ体制(生活支援、日本語教育)の整備を進めた企業です。安定した受け入れ体制の構築は、外国人材の定着率を高める上で不可欠な要素となります。

 

6-3.女性活躍推進の両輪:設備(ハード)と柔軟な勤務体系(ソフト)による差別化

労働力不足の解決策として、女性活躍推進が重要であり、他社との大きな差別化要因となります。設備(更衣室、トイレ)など「ハード面」の整備に加え、柔軟な勤務体系(時短・中抜け・在宅)、明確なキャリアパス、管理職登用など「ソフト面」の制度構築が求められます。

7.未来への投資:DX推進人材・AI/データ活用とベテランのリスキリングを両立

7-1.「データ経営」への移行:AI選別ロボット導入・ルート最適化を担うDX推進人材のニーズ

単なるツール活用(GPS管理など)を超え、AI選別ロボットの導入・管理、収集運搬ルートのAIによる最適化など、DXを「推進」できる人材のニーズが業界内で高まります。
基幹システムを活用した「データ経営」など、データ分析に基づいた意思決定を支える人材も重要です。

 

7-2.異業種との競争激化:ITエンジニアや環境コンサルタントなど専門人材の獲得戦略

2026年は、DX推進のための「ITエンジニア」、データ経営のための「データアナリスト」、GX対応のための「環境コンサルタント」など、専門人材のニーズが高まります。

これらの専門人材の獲得競争は、同業他社だけでなく、IT企業や大手メーカーなど異業種との戦いになります。自社の縁故を活かす採用チャネルとして、リファラル採用(社員紹介)やアルムナイ採用(出戻り)の確立が対応策として挙げられます。

 

7-3.採用難時代の必須戦略:体系的な「リスキリング」制度による社内キャリアアップ支援

採用難の時代において、既存社員の育成強化、すなわち「リスキリング」(学び直し)制度の構築が最も重要です。

OJT偏重から脱却し、「現場作業員がDX推進を学ぶ」や「ドライバーが運行管理や配車設計を学ぶ」といった体系的な制度を構築し、社内でのキャリアアップを支援する必要があります。リスキリングを支援する企業は、定着率と採用力の両方を高めます。

8.デジタル採用の新常識:採用CX(候補者体験)と採用特設サイトを軸としたWebスキーム構築

8-1.マルチチャネル戦略の確立:SNS、動画、求人特化型検索エンジンを活用した導線設計

過去の、お金を払って求人を出せば採用ができる時代は終焉を迎えており、現在は「導線設計(認知・集客)」と「受け皿構築(応募・魅力付け)」の両輪を回す採用マーケティングが必要です。

導線設計では、Google/Yahoo、求人特化型検索エンジン、SNS(Instagram、X、TikTok)、動画(YouTube広告)といったマルチチャネルを意識します。
特にSNSや動画では、仕事の社会貢献性や社員の雰囲気を視覚的に伝え、採用サイトへ誘導します。

 

8-2.応募意欲を惹きつける採用特設サイト:安心感・働き甲斐・働きやすさのコンテンツ充実

採用活動の「受け皿」として、求職者を惹きつけるコンテンツを充実させた採用特設サイトの構築が重要です。

サイトのコンテンツは、「働き甲斐」(企業理念、ビジョン、代表メッセージ)、「働きやすさ」(福利厚生、待遇、キャリアステップ)、「安心感」(先輩社員インタビュー、よくある質問)の3要素を徹底的に充実させます。

2026年は「AIによる書類選考・面接調整」や「採用管理システム(ATS)」の活用が中小企業にも普及し、採用活動のデジタル化が当然となります。

 

8-3.内定承諾率を高める:応募から内定までの採用CX(候補者体験)の設計

応募から内定までの「候補者体験(CX)」をいかにスムーズにし、魅力を伝えるかが鍵となります。

チェックポイントとして、応募後のレスポンスが早いか(AIチャットボットの活用)、面接が「評価」だけでなく「魅力付け」の場になっているか、選考プロセスがスムーズか(Web面接の活用)などが挙げられます。

求職者が選考プロセスにおいて「この企業を受けて良かった」と感じる体験を提供することが、内定承諾率を高めます。

9.選んで落とす採用から惹き付けられる採用へ:新卒採用における「選考前体験」の強化

9-1.新卒採用のパラダイムシフト:「選考型」から「惹き付け型」への戦略転換

競争率の激しい新卒採用は、「選ぶ採用」から「惹き付け・選び、選ばれる採用」へのシフトが必須です。

採用戦略は「選考型採用」から「惹き付け型採用」へ、採用体制は「採用担当中心」から「採用チーム中心+リクルーター参加型全員採用」へと変更することが求められます。

 

9-2.早期接点と長期スパンでの育成:インターンシップの質向上と業界理解の深化

新卒採用では、ナビサイトやダイレクトリクルーティングを活用しつつも、インターンシップ等の選考前イベントの重要性が増しています。

インターンシップでは、単なる会社説明や簡単な仕事体験ではなく、実際の課題(例:地域のGX推進、配車効率化)に触れさせ、社会貢献性や仕事の奥深さを体感させるプログラムを展開することが重要です。

応募意欲が低い学生に対し、長期スパンで「業界・仕事・企業・人」への興味や理解を深めさせ、「学生に選ばれ、そして選べる企業」となることが重要です。

 

9-3.辞退率を低減させる内定者フォロー:個別最適化と接触頻度×品質の向上

内定辞退を防ぐため、内定者フォローの個別最適化が大切です。

内定者一人ひとりの不安や希望に寄り添うフォロー(先輩社員との定期的面談・座談会、入社前研修、AIチャットボットによる疑問解消など)を実施し、接触頻度と品質を高めることで、辞退率を低減させます。

内定後フォローは、人間関係中心から、リクルーターによる複数フォロー、保護者対策重視、実務・ワーク中心へと変化しています。

10.成功事例に学ぶ:人口・エリア規模を問わない中途・新卒採用の具体的な施策と成果

10-1.中途採用成功事例①:Web採用スキーム構築による地方(GEO)での応募獲得

関西地方A社(人口7万人)では、Web採用媒体使用により1年間で37名応募、4名の若手採用に成功しました。

中部地方B社(人口4,000人)では、電気工事の現場技術者採用において、年間応募0名から1年間で50名の応募を獲得し、5名の若手採用に成功しています。

これらの事例は、Web求人プラットフォームでの求人検索が主流となっている中途採用において、マルチチャネル戦略と価値のある情報媒体(受け皿)の用意が重要であることを示しています。

 

10-2.中途採用成功事例②:産業廃棄物ドライバーの応募獲得と定着への施策

九州エリアの産業廃棄物収集運搬企業(年商17億円、社員80名)は、慢性的なドライバー不足による業績停滞に対し、本格的な中途採用活動を開始し、半年で80名以上の応募獲得、10名の採用を実現しました。

成功施策として、募集を車種や業務ごとに細分化し、ゼロからの大型免許取得支援、未経験でも経験者級の給与保証、入社後の育成期間(最大6ヶ月)確保などを実施しました。
HP×SNSでの事前情報提供の徹底により、入社後のギャップを防ぎ、定着を意識した採用活動を行いました。

 

10-3.新卒採用成功事例:高校・大学卒採用の実現とインターンシップの活用

前年高卒採用0名だった関東地方A社(社員25名)は、インターンに8名参加させ、4名の新卒採用に成功しました。

過去に大卒採用を実施していなかった九州地方E社(社員200名)は、初の大卒採用で3年連続採用を実現し、計7名の大卒採用に成功しています。

これらの事例は、インターンシップ等の選考前イベントが、早期化・長期化する新卒採用において、学生への興味や理解を深めさせる上で不可欠であることを証明しています。

11.結論:2026年に取り組むべき採用戦略のロードマップ

廃棄物・環境リサイクル業界が2026年の採用難を乗り越えるためには、「コスト」としての採用から「投資」としての人的資本経営への意識転換が不可欠です。

人事戦略と経営戦略の連動:

中期人員計画を策定し、退職・離職率や生産性と連動させる。

デジタル採用スキームの構築:

SNSや動画を活用した導線設計と、魅力を多面的に伝える採用特設サイト(受け皿)の構築を急ぐ。

処遇・制度の抜本的改善:

ベースアップの実施、評価制度の見直し、女性活躍推進のための柔軟な勤務体系、外国人材の受け入れ体制を整備する。

未来への投資:

DX推進人材の確保と、既存社員へのリスキリング(学び直し)制度を体系化し、技術継承と生産性向上を両立させる。


CX(候補者体験)の最適化:

応募から入社後のオンボーディングまでを設計し、内定辞退と早期離職を防ぐ。

これらの戦略的な取り組みを実践することで、業界特有の課題を克服し、「採用に強く、成長し続けるサステナグロースカンパニー」となる道筋が見えてきます。

12.参考資料

中小企業庁 調査室『2025年版 中小企業白書・小規模企業白書の概要(2025年7月)』

独立行政法人 中小企業基盤整備機構『第181回中小企業景況調査(2025年7-9月期)のポイント〈建設業編〉』

内閣官房『将来推計人口(令和5年推計)の概要ー日本の人口の推移』

厚生労働省『一般職業紹介状況(令和7年8月分)』

株式会社船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング「【廃棄物・環境リサイクル×採用】時流予測レポート2026

13.船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングがお手伝いできること

貴社の事業拡大を支援するため、船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングでは以下のコンサルティングサービスを提供しています。

13-1. 個別コンサルティング: 廃棄物・環境リサイクル業界向け採用力向上実行支援

外部環境調査と戦略策定(フェーズ1):ターゲット選定(業界・職種・エリア)、求職者マーケット分析、競合分析を実施し、最適な営業・求職者獲得戦略および差別化コンセプトを設計します。

各種ツールの納品(フェーズ2):法人営業支援ツール(トークスクリプト、提案資料、契約書テンプレート)や、人材募集運用ツール(求人原稿、広告運用マニュアル)、求職者マッチングツールなど、実践ツールを提供します。

実行支援(月次支援):策定した戦略を実行するための実務的支援を月1回行い、営業ロープレや求職者対応の研修、KPIマネジメントを通じて事業立ち上げをサポートします

 

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13-2. 集合型定期勉強会: 採用力向上経営フォーラム

全国トップクラスのゲスト講師や専門コンサルタントによる成功ノウハウの共有。
実践企業同士のリアルな情報交換会への参加。
会員限定データベースを通じた過去の講演動画や資料の入手。
新規参入から事業拡大まで、一気通貫でサポートいたします。

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14.【船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング制作】「廃棄物・環境リサイクル業界×採用時流予測レポート2026」

船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティング制作の「廃棄物・環境リサイクル業界×採用時流予測レポート2026」を無料でダウンロードできます。この機会にぜひご覧ください。


 
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